<タイムスケジュール>
7:30
起床
9:00
家を出発
9:30
出社
18:30
退社
19:00
金春湯へ出勤
23:00
退勤後、お風呂とサウナへ
24:00
お店を出発
24:30
帰宅
25:00
就寝
私は3年ほど前に大阪から東京に異動になって。コロナ禍の東京で知り合いもほとんどいない中、自分の働き方をじっくり考えるようになったんです。それで、会社と家の往復だけでなく、もう一つ居場所を作れたらな……という思いから副業をイメージし始めました。せっかく東京へ来て、本業でも自分のやりたい領域に近い仕事を任せてもらえるようになったので、残りの時間もしっかり活用したいと思ったんですよ。それでまずは、ずっと好きだったイラストを仕事にできないかと探り始めました。
そうなんです。ノージャンルで描くのではなく何かキャッチーな要素があった方がいいだろうと思い、当時ハマりかけていたサウナと銭湯をテーマに漫画を描き始めました。サウナに詳しい人もイラストを描ける人も他にたくさんいるから、もっと尖った要素が欲しいな……と考えていた矢先に金春湯の求人を見つけて。もともと都内で一番好きな銭湯だったので、ぜひ受けてみようと。
Instagramの募集投稿にアンケートフォームのURLが貼られていたので、そこへ自分の情報を入力しました。選考後にお店で面接をして、申し込んだ翌日くらいにはもう働くことが決まっていましたね(笑)。募集ページに「変わった副業がしたい人募集中」と書かれていたのも応募をする決め手になりました。そう言ってくれるのであれば、会社員でも受け入れてもらえそうだなと。もちろん、「福利厚生で銭湯とサウナ無料」というのも魅力的でした。
はい、社内の制度として認められています。ただ、デザイナー職の方が外部のデザインを請け負うなど、本業に関連する副業をする人がほとんどなので、上司に相談する時は理解してもらえるかとても不安でした。「勤務先:金春湯」というのは前例がないので、会社のみなさんも驚いてましたね(笑)。
割合にすると9:1くらいで、本業の収入がほとんどです。副業で得た収入は、スペックの高いPCや機材を購入するなど、主にイラストのための設備投資に使っています。最近は道具がある程度揃ってきたので、余ったお金は貯金へ回すことが多いです。
金春湯の魅力は、ごく普通の日常に寄り添うところだと思っていて。初めましての人も常連さんも、子どももお年寄りも、みんなが居心地の良い場所なんです。湯上がりのサラリーマンがビールを飲む横で子どもが絵本を読んでいる様子を見ると「この場所が好きだな」としみじみ感じます。会社から2駅なので通いやすいし、私にとってのホームサウナはここだなと。
お客さんだった頃は平日の夜に来ることがほとんどだったので、土日の昼間にはまた違う光景が広がっているんだなと。訪れる人たちの幅の広さを改めて実感しました。
わりとのんびりした仕事なので、オフの延長線のような気持ちで働けています。むしろ、あえて趣味を仕事にした部分もあって。サウナにハマり始めた頃はいろんな銭湯を訪れていましたが、だんだんマンネリ化して腰が重くなってしまって……。でも、この趣味を失ってしまうのはもったいないと思ったので、仕事にすることで銭湯通いを日常化したんです。「今から働くぞ!」と意気込んでここへ来るというよりは、生活の一部という感覚ですね。
平日の夜はくたびれた様子で入ってくる人が多いのですが、そういう人たちがお風呂に入ってスッキリした面持ちで帰っていく姿を見ていると、私まで幸せな気持ちになります。銭湯で働く一人として何か役に立てただろうかと思うと嬉しくて。
そうなんです。ただ、終業後にお風呂に入って帰れるので、帰宅後はただ寝るだけという点は楽ですね。私は体力がある方ではないので、副業で飲食店や立ち仕事のアルバイトを始めてしまうと体がもたないと思うのですが、ここならお風呂とサウナに入れるからむしろリラックスできて。家でシャワーを浴びて寝るより、よっぽど健康的かなと思っています。
今までは遅くまで残業をすれば終わっていたものが、18:30には必ず退社しなくてはいけなくなったので、タイムスケジュールの調整が大変になりましたね。今まで以上に自分にプレッシャーをかけて、時間効率を考えながら終わらせるようにしています。
TODO整理をより丁寧にするようになりました。常に締め切りの1日前までに仕事を終えるようなスケジュールを組んでいます。抱えた仕事をあらかじめ細かく分解して、1日にタスクを詰め込みすぎずに日々進行するのがこだわりです。
締め切りが重なってしまうとうまく回らないこともありますよ。ただ、金春湯は若旦那が普段システムエンジニアとして働いているとうこともあり、会社の仕事に対して理解してくださっていて。今日はどうしても無理だ……って時は相談してお休みをもらっています。もちろん、あまりシフトに穴を開けないようにはしていますが、両立をサポートしてくれるのは助かりますね。そこの理解がなかったらきっと厳しかっただろうなと思います。
半ば強制的に頭の切り替えができるところでしょうか。ビルの高層階にあるオフィスから銭湯へ移動すると、気持ちがスイッチされるので。会社で起こったモヤモヤを家に持ち帰ることなく、銭湯で一度スッキリさせてから帰宅できるんです。仕事で煮詰まってしまった時に、番台やお風呂の中でふと良いアイデアが思いつくこともありますよ。
今のところは特にありません。転勤になったり、結婚して子どもが生まれたり、そういう大きな変化がない限りは続けたいなと思っています。
勢いで始めたダブルワークだったのですが、やってみたらとても良かったと実感しています。私自身も今のライフスタイルを気に入っているからこそ、会社と家の往復でストレスを抱えてしまっている人たちに「こういう働き方もアリだよ」ってことを伝えたくて。最近は、SNSでの情報発信のほか、銭湯で働く日々を綴ったコミックエッセイも制作しました。ダブルワークに興味がある人は多いと思いますが、なかなか想像しきれない部分もあるはずなので、「実際にやってみたらこうだったよ」という声を発信して役に立てたらなと考えています。
さん
かまくら・まどか/1993年 愛媛県出身。 2016年に愛媛大学を卒業後、某音楽配信事業会社に入社。2019年に東京本社へ異動。2022年より金春湯とのダブルワークを始める。
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