2024/02/29

成果を出し続けるために必要な思考プロセス

インタビュー
#インタビュー#働き方#スキルアップ

「成果を出すには、地図を作れ」 そう語るのは、生産者と消費者を繋げるオンライン直売所「食べチョク」を運営する、株式会社ビビッドガーデン執行役員の松浦悠介さん。2018年に入社後、数多くのポジションを経験した彼は、その全てに全力で取り組んできたそう。 仕事に向き合う中で感じたリアルな苦悩や、それらを解決するために手掛けた試行錯誤をもとに、再現性のあるナレッジや学びを、本記事ではご紹介します。


半年ごとの役割変更がもたらしたキャッチアップ精神

今日はよろしくお願いします。まずは、ビビッドガーデンに入社された経緯を教えてください。

2018年7月に発生した西日本豪雨で、多くの農家さんが被害に遭われたことがきっかけで、ビビッドガーデンに入社しました。

大学時代に友人と農業サークルを立ち上げたことを機に、たくさんの農家の方と関わりができ、業界に貢献したい想いが生まれてはいたものの、まずは自身に力をつけることを優先し、別業界での就職を決意。

しかし、入社してからすぐ西日本豪雨が発生。力をつけてからなんて言ってる場合じゃなく、今すぐ動くべきだと思い、気づいたら転職していました。

決断力のある選択ですね!とはいえ、いきなり環境が変わって、大変なことも多かったのでは?

会社の状況に合わせて半年から一年の周期でポジション変更があったので、その度に0からのキャッチアップが必要でして。

具体的には、マーケティングやCS、その他複数ポジションも経験しました。専門書を読んだりイベントに参加したり、良い経験になったのは間違いないですが、毎回それはすごく大変でしたね(笑)。

その中でも特にキツかった場面はありますか?

コロナによって飲食店の営業が中止。それに伴って、多くの生産者が影響を受けることになったときは、キツかったです。かつて、西日本豪雨で自分が何もできなかったという経験がありましたが、コロナの時はそれ以上に目に見えて困ってる人がすごく増えた印象でした。

より多くの生産者を助けるためには事業の成長、拡大が必須。そこでTVCMの放映など、大型の施策を実施しました。

TVCMの実施は必要となるお金がかなり高額で、関係者も多い施策です。これに対し、社内で回せるリソースは少ないという状態でしたので、限られた人員、時間、お金をどうやって回していくかということを必然的に意識するように。

このとき、デジタルマーケターとして現場を中心にやってきた自分が、一歩上に登ったような感覚がありました。

成果を出すには、そこへ辿り着くための地図が必要

松浦さんは、どのポジションでも成果を出し続けてきたと伺いました。

事業の戦略や施策の大半は、すでにどこかで誰かが過去にやっていることが多いので、人の経験と力を頼ることにしています。

わざわざ0から同じプロセスを辿る必要はないので、まずは類似事例をインプットして、それを踏まえた戦略や施策を考えるように意識していることが、結果に繋がっていると言えそうです。

再現度高く成果を出すために必要なことを教えてください。

成果の定義は人によって違うので、まずは自分にとっての成果を明確にすることが大前提ですが、成果を出すためのプロセスとしては、「散歩をして地図を作ること」が大切だと考えています。

新しいことに取り組む時、何から手をつければいいのかわからない、となりがちです。その場合はまず、取り組むことの領域内を「散歩」します。散歩の具体例としては「その分野の本を10冊読む」「ユーザーの声をランダムに集めてみる」などがあります。こういったことをあえて散発的に行うことで、今後自分がやるべきことの全体像がなんとなく見えてきます。

次に、散歩で集めた情報をもとに成果にたどり着くまでの「地図」を作成します。散歩で集めた情報だけで作った地図には、空白が生まれます。その空白が、現時点で成果達成のために不十分な要素です。新しい情報を集めたり、試作を試してみたりしながら、地図の完成を目指すことで、成果の達成が見えてくるはずです。

求められる役割ごとに視座があがっていった

普段のお仕事内容や役割について、ご紹介をお願いします。

弊社の中核事業である「食べチョク」は、小規模農家をはじめとした、既存の流通経路では十分な収益を上げることが難しい生産者と消費者を繋げるための事業です。

入社当時は、まだ食べチョクがサービスとして確立されていなかったこともあり、マーケターとしてサービスを0.5から1にすることが求められていました。現在は、プレイヤーとしてだけではなく事業単位、そして会社単位に対する成果を出すことが求められるようになり、日々の業務は多岐にわたります。

以前は足元、「今日明日に実施する施策をどのようにこなしていくか」というようなことを考えていましたが、今では数年単位で「どうやって事業を成長させ、社会に貢献していくか」というようなことを考えるようになりました。先が見えない中でも、遠くを見据えて行動することが求められるようになっています。

その結果、視点の位置も変化しました。今ではより俯瞰的に、広い視野を持って事業や組織の成長を考えています。

 やりがいを挙げるとしたらどんなことでしょうか?

一緒に頑張っている生産者さんの存在です。それだけは、入社した時から今まで一度も変わっていません。

日々しんどいなと思うことがたくさんあって、正直、「もう無理…」なんて考えてしまうことも毎週あります(笑)。でも僕たちが挫けてしまったら、多くの生産者さんに影響が出てしまいます。

自分は、そしてビビッドガーデンはそれだけ多くの人の生活や人生を背負っている、背負うことができているんだ。その事実が自分にとって、絶対的なやりがいです。

キャリアプランは白紙。でもありたい姿は明確

今後のキャリアについては、どんなイメージをお持ちですか?

実は自分自身のキャリアそのものには興味がなくて、ロードマップも作っていません。しかし、人生の目標は明確にあります。それは“社会の分断”をなくすことです。

どういった立場だとしても社会に対するアプローチをして、少しでも社会の分断に対して影響を与えられたら、と考えています。

そう感じるようになった理由をお伺いしたいです。

例えば、トマトが10円値上げされると、その値上げの理由を考えることなく消費者は購入を控えてしまう。その行動に対して、農家側は消費者に対して悪い印象を持ってしまう、ということがあります。

これは、社会が分断されていることで“人と人の距離感が遠くなっている”ことが原因だと考えています。分断されているから、相手側の背景や構造を理解できず、目に見える指標のみでの判断になってしまう。

こういった分断は、社会の至るところに溢れています。だからこそ、自分が強い関心を持っている農業という分野から別々の立場の人を繋げる取り組みをはじめて、分断を解消できたらいいなと思っています。

今は何%くらい解消できていますか?

1%未満です。食べチョクというサービスで考えてみても、全国で130万を超える生産者に対して、現在登録していただいているのは1万前後。つまり1%未満です。今、自分が意識的に取り組んでいる食と農の分断の解消という観点で見ても、まだまだかなり手前の段階です。

学ぶときはアウトプット前提で考えるのが吉

松浦さんの思考法やアウトプット術を学ぶためにはどうすればいいですか?

実は、PERSOL MIRAIZさんとのご縁をいただき、超実践的なワークショップを実施する運びとなりました。マーケティングの上流から下流まで一気通貫で学び、実際の現場ですぐに活用できるスキル獲得プログラムとなっています。

ただ、参加するだけで答えを受け取れるような内容ではなく、一緒に考えて答えの発掘を行うので、全員がアウトプットする前提で成立する場であることをご理解ください。

過去に開催されたクラスはこちら

そのマインドセットは日々の業務でも役立ちそうです。

僕自身が今の思考法にたどり着いたのも、日々の蓄積からきている部分が多いです。たくさん考え、たくさんアウトプットのPDCAを回して、たくさん失敗した中でじわじわと作られてきたので、とにかくアウトプットするんだ!という意識は重要です。

例えば、10人中5人が抽象的には同じ意見を持っている場だとしても、その5人が発言しなくていい理由にはならないはず。むしろ、同じ意見だと感じた場面でも、自分の言葉で発信することで、学べる視点は変わります。一人が発信し、それをみんなで吸収して終わりだともったいないので、0.1でも0.2でもプラスαで掛け合わせができるほうがいい。

自分も何かしらこの場に対して貢献できないか、さらに盛り上げることはできないか、お互いにギブをし合える環境作りを、僕自身も提供できるように日々努力し続けていきます。

この記事に登場する人

松浦 悠介

さん

株式会社ビビッドガーデン 執行役員・事業開発

一橋大学を卒業。学生時代には4社のベンチャー企業でインターンシップを経験し、アジアで初となる新卒でのテクニカルトレーナー職として外資系IT企業のVMwareへ入社。2018年11月にビビッドガーデンに入社し、マーケティング統括として「食べチョク」の成長を牽引。社内初のテレビCM放映プロジェクトを全体統括するなど、マーケティングの責任者として「食べチョク」のグロースを担当。

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