2024/03/04

テーマ設定こそが本をビジネスに活用する肝

インタビュー
#インタビュー#働き方#スキルアップ

ビジネスシーンにおいて、本は身近な存在だと感じる人は少なくないと思います。しかし、世の中には大量の本があり、活用法も人それぞれのため、どのように選べばいいのか迷うことも多いのではないでしょうか。 今回お話をお伺いした松浦悠介さんは、小〜中学生の頃から読書習慣があったそう。Web記事や動画など、さまざまなツールが出回っている現在でも、読書を用いたインプット・アウトプットを欠かしません。 なぜ本なのか、本だからこそ得られるメリットなど、松浦さんの「本」に対する価値観や見識から、独自目線での選定基準や、ビジネスで活用するためのヒントをご紹介します。

情報の量と質を高めるために本を選ぶ


松浦さんはもともと読書家だったそうですね。

小〜中学生の頃から、歴史小説を中心に読書をする習慣がありました。昨今、いろんな情報媒体がありますが、メジャーとなりつつあるYouTubeなどの動画チャネルは、実はもっとも活用できていないです(笑)。

PCやスマホで情報を得られる動画は、一見手軽ですが、広告やSNSの通知など集中を阻害する要素が多くあります。

その点、目の前の情報に集中しやすいのが紙媒体の特性です。目の前の情報に集中できれば、より思考が深くなり、得られる情報の量と質が高まると考えています。

他に読書のメリットは何が挙げられますか?

一言で表すなら、本は「知の結集」です。基本的にナレッジは、口頭で教わるか、本や記事、動画などを通してまとめられた形から得るか、どちらかだと考えています。

一冊の本の裏側には、それを売るために内容の練度を上げ、具体化し、精度を極めた背景がありますから、凝縮されたナレッジをもっとも深い形で学べるんです。

質が高く、かつ深い情報に数千円でリーチできるのが、本というチャネル。そういった理由が根本にあるからこそ、僕は読書を通してインプット・アウトプットを続けているんだと思います。

本は自分自身を拡張してくれるもの


本を選ぶ基準について教えてください。

基本的な軸は「短期」「長期」の視点です。

短期の視点から選ぶのは、すぐにでも実務に活かしたい学びが得られる本。僕の場合、会社経営や組織の話です。そして長期の視点から選ぶのは、すぐに役立つかはわからないけれど、思考の幅や成長角度を高める知識や情報が得られる本。

両者の共通点として、僕が本を読むのは原則「仕事でぶつかった壁に対するソリューションを見つけたいとき」「成長したいと感じたとき」です。

壁にぶつかったときなんですね。

意思決定を迫られたり、ディスカッションしたりする場で、自分の限界を知ることが多いです。課題に対する視座が低く、みんなが考えているようなアイデアしか出せないと、その場に自分が介在する意味がないと思ってしまうんですよね。

壁にぶつかったとき、まずは自分の頭の中で思いついたアプローチを試しますが、効率が悪いと感じたら、外からインプットする形にスイッチするイメージです。短期・長期どちらの軸で本を選ぶときも「自分にはない視点や知識」を求めています。


おすすめの本はありますか?

「短期の視点」でおすすめなのが、『顧客起点の経営』『急成長を導くマネージャーの型』の2冊です。

『顧客起点の経営』には、戦略レイヤーと実行レイヤーの紐付けをフレームワークの整理だけで終わらせない、「How」に落とし込む実践的な方法が書かれています。

『急成長を導くマネージャーの型』では、マネージャーに求められる経験やスキルが多い時代において、どういったスタンスやマインド、フレームワークを持って振る舞っていくべきなのか? といった点が、かなり細やかに書かれています。

どちらもスキルやセンスではなく、フレームワークの観点からマネジメントを捉えており、解像度が高いのが特長です。読んだらそのまま実務に活用できる構成になっています。

また、長期的に見ておすすめなのが『解像度を上げる』と『坂の上の雲』です。

『解像度を上げる』は、ある課題に対し、粗い解像度をどう分解するか、そして分解時に足りないのはどんな思考なのか、そういったブレイクダウンの手法やプロセスを学べる一冊です。そもそも思考法には、それぞれ向き・不向きや流派があると思うんですが、僕にはとても合っていました。

日頃から「良い問いを作れていないかも」「思考が浅いかも」と課題感を持っている方には、合うと思います。

『坂の上の雲』は、自分の思考をより強固に、かつ視座を上げてくれる本です。元々僕は、劣等感が働くモチベーションになっているのですが、自分と似たような境遇から日本を変えた歴史上の人物たちと、今の自分との差分が、僕の働くモチベーションをより高めてくれています。

本との接点を増やすことが実務活用への最短ルート


本を読むときに気をつけていることはありますか?

「この本から何を学べるか?」を考えながら、一冊一冊の本に向き合うように心がけています。どんな形でも、いったんは小さなアウトプットを残すようにしていますね。

自分なりにメモをとりつつ、思考しながら読んでいると、その瞬間の自分が出せるアウトプットが残る。時間を置いてから読んだら、また違ったアウトプットが出るはずなので、その差から学べるものも多いなと感じています。

インプットだけを目的とした読書は、すぐには実務に活かしにくいんです。この本から何を学べるか?と考えながら全力で向き合う「アウトプット目的」の読書は、時間はかかりますが、自分のなかに残るものは多いはずです。 

 本選びのコツが知りたいです。

「本との出会いの可能性を上げること」です。

僕自身は、なるべく書店や図書館に行く回数を増やし、書棚の間をウロウロすることで、自分に必要な本と出会う可能性を高くします。

今の自分の暮らしや視座において、引っかかる本とそうじゃない本があると思うんですが、なるべく引っかかる本に多く出会うためには、普段は行かないような書店や、興味の薄い書棚も見てまわることが大事だと考えています。

本を効果的に活用するには何が大事でしょうか?

テーマを設定することです。

例えば、弊社では、社内で定期的に読書会を行っているのですが、それは僕が知らないビジネスや社会全体などの知識を深く理解することに繋がっています。

読書会では、社員が持ち回りで本の選定から問いの設定、全体ディスカッションまでを実施。本の選び方では「ディスカッションできそうか」、ディスカッションに向けた読書では「問いを自分ならどう解釈するか」と、テーマを持って本に向き合っています。

1つ1つのプロセスで思考をひと回ししながら取り組んでいるからこそ、結果として深い「知」に繋がっているのだと感じていますね。

なので、何かしらの基準を持ちながら、小まめにいろいろな書店や図書館をまわり、出会った本とは、テーマを持ってインプット・アウトプットする。こういったひと回しの思考をすることで、実務に活かせる情報や自分を高めてくれる知識を抽出できるようになるのではないでしょうか。


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この記事に登場する人

松浦悠介

さん

株式会社ビビッドガーデン 執行役員・事業開発

一橋大学を卒業。学生時代には4社のベンチャー企業でインターンシップを経験し、アジアで初となる新卒でのテクニカルトレーナー職として外資系IT企業のVMwareへ入社。2018年11月にビビッドガーデンに入社し、マーケティング統括として「食べチョク」の成長を牽引。社内初のテレビCM放映プロジェクトを全体統括するなど、マーケティングの責任者として「食べチョク」のグロースを担当。

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