2024/03/11

仕事にも応用できる「脱目的思考」のオフ時間

インタビュー
#インタビュー#働き方#スキルアップ

仕事のために意識して過ごす人もいれば、仕事とは切り離して考える人もいるなど、ビジネスパーソンにおける“オフの捉え方”は人それぞれ。今回お話をお伺いした松浦悠介さんは、オフを過ごす上では何かを達成しようと思わず、心の赴くまま趣味に打ち込むことを意識しているそう。オフを制するものは仕事を制するのか?必見です。


オフ=負の感情を癒し、想定外と出会う時間


今日はよろしくお願いします。スタートアップの執行役員とのことで、かなりお忙しいイメージですが、オフは取れていますか?

ご心配ありがとうございます。結論から申し上げると、「この日は完全にオフ」と明確な切り替えはしませんが、意識的にオフの時間を作るようにしています。

その理由を教えてください。

まずは、短期的なモチベーションを回復するためですね。

オン(仕事)は、長期的な目標に向かって突き進む時間だと考えていますが、少なくとも私は、ずっと全速力で走り続けられるタイプではないんです。

「どうして自分にはできないんだろう」「もう辞めたい」といった劣等感や憂鬱な気持ちが毎日積み重なって、足枷になってしまうというか…。だからこそ、そういった負の感情を癒す時間を取るようにしています。

なるほど。

それに加えて、自分の視野を広げたいという理由もあります。

オンの時間は、15分刻み、30分刻みで予定が詰まっていますし、常に何らかのタスクの締切を抱えているので、それらをこなすので精いっぱい。目の前の仕事と関係ないものは遮断してしまうので、結果的に仕事上のアイデアやスキルの引き出しも増えないんです。

そこで、オフの時間にはあえて仕事と「非連続」の新しい経験を重ね、知識を吸収したり、感性を磨いたりすることを大切にしています。

まとめると、負の感情を癒す「守り」の効用と、新たな発見を得る「攻め」の効用を期待して、オフを取っている、ということになりますね。

単なる趣味こそが、仕事につながる学びの宝庫


オフの過ごし方をおしえてください。

趣味に打ち込んでいることが多いです。モチベーションを回復するために、オフは全て睡眠に当てるという人もいるかもしれませんが、それだと視野が広がらないので、私は癒しの効用もありつつ、新たな発見もあるような趣味に取り組んでいます。

例えば、どんな趣味を?

一番馴染んでいるのは「援農」ですね。農家に行って、種まきや雑草抜き、収穫の作業、収穫物の整理、農具の片付けなどを手伝うんです。

きっかけは、大学で友人と農業サークルを立ち上げたこと。東京西部を中心にさまざまな農家の方々とつながりができて、社会人になってからも継続的に顔を出しています。

援農には、どんな効果がありますか?

まず、自然に触れることで五感が研ぎ澄まされ、マインドフルネスにつながる癒し効果がありますね。仕事をしている時はひたすら考えっ放しなので、オフであえて対極の「感じる」体験をしっかり積むと、思考もシャープになる気がします。

さらに、「普段の農家」を知ることができる点も挙げられます。例えば、私がビビッドガーデンの人間として農家を訪問する場合は、いつもより気を遣って優しくしてくれたり、張り切ってしまっている可能性は大いにありますよね。

でも、単なる20代の若者がボランティアとして働きに行けば、農家は私に雑多な仕事を任せたり、仕事の苦労話をこぼしたりする。飾らない普段の姿を見せてくれるわけです。

今「食べチョク」に登録してもらっているのは、全農家の1%未満。さらにサービスを拡大するためには、いわば「スタンダード」な農家にアプローチしなければなりません。そのターゲットの基準値を正しく設定するのに、援農で得た知見は役立っていると思います。


オンとオフで、農業との関わり方や意味合いが大きく異なるんですね。

援農の他にも、趣味はいろいろありますよ。

例えば、古着屋巡り。もともと高校生時代に、お金がない中でもおしゃれがしたいと思ったのがきっかけで始めたのですが、好きな服に触れながら過ごせるのが最高の癒しになっています。

また、いつでもネットや店頭で買える服とは違って、古着は一点もの。「今買わなければ、二度と出会えないかもしれない」という場だからこそ即断力が問われ、意思決定力を養えます。

しかも、他者からの見られ方に意識的になったことで、自分やコンテンツの見せ方も学べた。「この服を着ると、周囲にどう思われるだろうか」という意識から派生して、「この発言や発信は、周りにどう受け止められるだろうか」ということまで想像が及ぶようになり、それがマーケティングにも生きていると思います。

古着からもビジネスナレッジを得ていたんですね。

最近では、謎解きゲームにもハマっています。複数人が集まってシナリオの登場人物となり、犯人を探し出す「マーダーミステリー」というゲームで、純粋に課題解決に熱中できるのが楽しいんです。

しかも、仕事では出会わない、いわば「非連続」の人たちとチームを組むので、コミュニケーションの引き出しが増えますね。課題へのアプローチ方法を見ていると、本当に一人ひとり違う。私自身、他の人たちの考え方を吸収できますし、そういう考え方をする人たちとのコミュニケーション方法も学べています。

目的から逆算せず、自由気ままなオフを過ごそう


オフの過ごし方について、アドバイスはありますか。

当たり前ですが、自分に合ったオフの過ごし方を見つけることが大切です。今回紹介したのは、あくまで私の一例なので、他の人がやっても同じような効果を得られるとは限りませんし、そもそも続けられるかもわからないですよね。

まずは、「何をすべき」と固く考えずに、自分が少しでも興味がわくことを始めてみてください。ただ、自分にとって習慣化のハードルが高いと、始めても続けられないかもしれないので、金銭面やスケジュール面で自分の生活にフィットするものを選ぶのが良いと思います。

自分の興味がわいて、かつ続けられそうなことを探すと。

そして、どのような過ごし方をするにしても、何かを達成しようという「目的思考」を手放すのがポイントだと思います。目的思考は、ゴールを達成する上で重要ですが、目標に追われることになり、「頑張らなければ」というストレスがかかります。その上、ゴールまでの道のりにないものは捨ててしまうことになり、視野が広がらないんです。

あえて、目的から逆算するのではなく、興味の赴くまま、自由に直観的に過ごす。必要に追われてではなく、自分で能動的に選び取っていくことで、ポジティブな感情が生まれますし、アイデアやスキルの幅出しにもつながります。

逆説的ですが、「脱目的思考」でオフを過ごすことが、結果的に仕事にも良い影響をもたらすんですね。

そうですね。人生は仕事とオフの天秤で、仕事自体の負荷が大きければ大きいほど、その分オフでリカバリーしなければならないことになります。ある意味、両者はつながっているんです。

そのバランスがうまく取れたときに、人生の質が上がり、仕事にも邁進できるようになると思います。

この記事に登場する人

松浦 悠介

さん

株式会社ビビッドガーデン 執行役員・事業開発

一橋大学を卒業。学生時代には4社のベンチャー企業でインターンシップを経験し、アジアで初となる新卒でのテクニカルトレーナー職として外資系IT企業のVMwareへ入社。2018年11月にビビッドガーデンに入社し、マーケティング統括として「食べチョク」の成長を牽引。社内初のテレビCM放映プロジェクトを全体統括するなど、マーケティングの責任者として「食べチョク」のグロースを担当。

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