2024/03/25

読書を仕事に活かすには「自分の言葉」で要約せよ

インタビュー
#インタビュー#働き方#スキルアップ

「成功するビジネスパーソンは多読家だ」 そんな言葉があるほど、ビジネスと本は結び付きが強い。しかし、本の選び方や活用法が分からない人も多いのが実情でもある。 今回お話を伺った大前宏輔さんは、学生時代から3冊を意識的に並行して読む習慣があったそう。一体、そこからどんな学びを得てきたのでしょうか。

本の強みは、密度の高さと効率性

本日はよろしくお願いします。大前さんは、子供の頃から読書習慣があったと聞きました。

中高生時代から読書が好きで、小説などをコンスタントに読んでいました。

社会人になってからは、言葉の定義の違いとか、領域の違いを知るために本を活用していましたね。例えば、営業職から、事業会社のマーケ職に転職したとき、これまでの自分が扱っていた「マーケティング」という言葉の定義が狭すぎて仕事で苦しむことがあった際に、定義を正しく理解するためにいくつかの本を読み漁ったりしていました。

様々な媒体がある中で、本を読み続けるのはなぜですか?

本の方が、情報の密度が高いからです。誤解のないようにお伝えすると、私はWebメディアやSNSなどにもよく接しています。ただ、多くのWebメディアは、いろいろなコンテンツを回遊させて広告の配信量を増やし、収益を上げるというビジネスモデルなので、各コンテンツ単体よりもライトな内容を数多く見せることに特化しています。

それに比べて本は、コンテンツ自体に個人がお金を支払う価値を感じないと売上が上がらないため、当然ながら情報の密度が高くなります。

情報をたくさん摂取したいのか、濃く摂取したいのか、その時々の媒体の使い分けが重要かなと思います。

確かに情報の密度は高そうです。他にも本のメリットはありますか?

紙の本と電子書籍という形態ごとにも、それぞれ良さがあります。紙の本は、スマホやPCなどのデバイスから離れることで、本だけに集中して向き合えますし、電子書籍は、WebメディアやSNSと同じように、その場ですぐアクセスできるのがメリットですね。

気持ちをリセットしたい時は紙の本、今すぐ情報を得たい時には電子書籍という風に、私は使い分けています。

読書のコツは複数×並行の組み合わせ

本選びの基準について教えてください。

私は、「今の自分に必要な本」「自分の興味が湧いた本」「自分が普段は手に取らない本」の3種類を並行して読むように意識しています。
大学生になったころ、父親からもらったアドバイスがきっかけだったんですが、この3つを同時進行で読むようにすると、自分の知見を偏りなく広げられます。

具体的に、それぞれどのような本でしょうか?

「今の自分に必要な本」は、困っている時に読む、アウトプットが前提となっているような本です。私の場合、仕事であるマーケティングなどの戦略を立てる場面で、自分が持つノウハウでは対応できなさそうな課題が出てきた時に、別の引き出しを得るために読みます。結果的にビジネス書が多くなりますね。

「自分の興味が湧いた本」は文字通り、自分が読みたいと思った本ですが、「自分が普段は手に取らない本」は、通常は足を向けないコーナーに置いてある本のイメージです。どちらもインプット用の本で、私の場合は小説や雑誌の割合が高くなります。

自分とは異なる層をターゲットにした本を読むことで、いろいろな価値観を吸収でき、様々なセグメント向けのマーケティング戦略を設計しやすくなるという副次的な効果があります。どのセグメントに、どのようなアプローチをすれば響くか、逆にどのようなコミュニケーションがリスクになるかが、なんとなくわかってくるんです。

すごいです…!

様々な価値観を学んでいると、違いだけではなく、共通点もあることに気づくんですよね。たとえば、一見異なるように見えるマーケティング部の仕事と人事部の仕事も、構造的には同じ、のように。目の前の課題に必要な本とそうではない本を読み、共通点を突き詰めて考えることが、コアに到達する近道なのかなと思います。

特におすすめの本があれば、知りたいです。

「今の自分に必要な本」という基準で選んで役に立ったのは、『欲望の見つけ方』です。

人間の欲望が生まれるメカニズムを解説した本で、これまで自分が行ってきたマーケティング戦略を再現性のあるパターンに落とし込みつつ、新たな戦略バリエーションも手に入れることができました。エッセンスが体系的にまとめられているので、公式を頭に入れる感覚で読めます。マーケターや営業などを含め、ターゲットへのアプローチ方法に悩んでいる人におすすめです。

紹介がとても上手ですね!読みたくなりました!

また、「自分の興味が湧いた本」という軸では、『GO』を挙げます。

在日韓国人の男の子が主人公の青春小説なんですが、いろいろな本や音楽に触れ、それを貸し借りしながら人間関係を紡いでいく姿がかっこ良くて、中学生のときに初めて読んで以来20回以上は読んでいます(笑)。食わず嫌いにならず、多方面から情報を摂取するようになったのは、この本が原点ですね。

「自分が普段は手に取らない本」はいろいろありますが、わかりやすい例は雑誌です。ティーン誌やミセス誌、料理雑誌も読むんですよ(笑)。雑誌は、細かくクイックに効果検証できるWeb媒体とは違って一発勝負のメディアということもあり、コマ割りや見出しでどう情報を発信するかで、それぞれのコンテンツの重要度がわかることもあり、大事にしている価値観や、読者ターゲットの全体像が掴みやすいんですよね。

自分にあった本を見つける秘訣はありますか?

手元に本がある環境を作るのが良いのではないでしょうか。本屋さんに週1回行くでも、ブックカフェに行くでもいいので、本がある環境に行く習慣をつけることがおすすめです。

要約こそが実践への必須アクション

本の選び方自体が分からない人向けに、アドバイスをお願いします。

あまり肩肘を張らずに、まずは気になる本を探してみることをおすすめします。小説や雑誌、漫画など、ジャンルは問わず、必ずしもビジネス書でなくても構いません。どんな本からでも、人が何に喜び、何を嫌がるのかを知ることができますし、その想像力はビジネスの土台であるコミュニケーション能力を高めることにもつながります。

まずは本屋や図書館に行ってみたり、とりあえず本を手元に置いて積読してみたりするところから始めると良いのではないでしょうか。

本を読む時に意識していることはありますか?

あえて言えば、効率性でしょうか。平日の日中は仕事、休日の昼間は子どもの世話でなかなか時間が取れないので、本を読むのはお風呂や寝る前の1時間前後しかありません。だからこそ、その時間に最大限の情報を身につけることを意識しています。

特にアウトプット目的の場合は、本の章立てをざっと見て読むべき箇所の見当をつけてから、時間内で読めるだけの分量を読むようにしています。もちろん、選んだ本の選んだ箇所に、いつも求めている内容が書かれているわけではなくて、アウトプットに活かせる確率は3割程度です。

ただ、時間を置いて別の場面で役立ったりするので、ピンポイントで答えにたどり着けなくても、それ自体が悪いことではありませんし、そういう理由もあって、よく同じ本を後から読み返してもいます。

本を読んで終わりではなく、実践に活かすにはどうすればいいでしょう?

サマリーを書くのが、個人的にはおすすめです。本に書いてあることをそのまま要約するのではなく、自分の考えや課題を主軸にして、「本を読もうと思ったきっかけ」「本で印象的だったこと」「自分の仕事や生活に活かす方法」をまとめるんです。

たとえ数行しか書けなくても、自分の言葉にすることで記憶に残りやすいですし、仕事に活かすイメージもつきやすくなります。読書のために使える時間が2時間であれば、1時間を実際に本を読む時間にし、残り1時間はサマリーを書くことに当てた方が、自分の血肉になると思います。

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この記事に登場する人

大前 宏輔

さん

思考合同会社 代表

京都大学教育学部卒業後、2012年株式会社サイバーエージェントに入社し、子会社立ち上げなど幅広く経験。2018年9月より株式会社メルペイに入社し、マーケティングマネージャーを歴任。2021年4月に株式会社YOUTRUST入社、同年10月にCMO就任。2024年1月より独立し、スタートアップ企業のマーケティング戦略・組織づくりに関する支援を行う。

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