2024/05/22

SNSマーケ成功のカギはライブ配信?マーケターに求められる「ファンをつくるスキル」について

インタビュー
#SNS#マーケティング#スキルアップ#インタビュー

昨今、SNSマーケティングにおけるライブ配信の重要性に注目する企業やマーケターが増えています。SNS特有の気軽さや双方向性、リアルタイム性がもたらす効果とは? お話を伺ったのは、PERSOL MIRAIZで少人数制クラスの講師を務める廣田智沙さん。そして、廣田さんの友人であり、廣田クラスでゲスト講師を務める田中絢子さん。 ペット関連事業、アパレル事業でそれぞれSNSマーケティングを成功させているお2人に、ライブ配信の有効性について語っていただきました。

※本クラスの応募は締め切りました

ライブ配信が生み出す豊かな顧客体験。

廣田

廣田さん

少し前提からお話しすると、今回私が、SNSマーケティングを学べる少人数制クラスの講師を担当することになったの。


受講いただく方には、Instagramのアカウントをイチから伸ばしていく実績を積んでもらおうと考えていて。


という中で、今、Instagramにおけるライブ配信の重要性って高まってるじゃない?

田中

田中さん

うん、それで私にお声がけいただいたと。

廣田

廣田さん

「インスタライブってやったほうがいいんですか?」という質問は、
SNSマーケを始めたばかりの人や、コンサルで入らせてもらっている企業さんからもよく受けるの。


私自身はライブ配信が得意とは言えないけど、重要性はすごく感じていて。


ライブ配信と言えば絢子ちゃんだ!と思って、ゲスト講師を依頼させてもらいました。むしろ私も学びたいくらい(笑)。

田中

田中さん

なんだか光栄です(笑)。
今、インスタ側もライブ配信の機能を優遇しているみたいだね。

廣田

廣田さん

インスタライブをやった後は投稿の伸びが良かったりするから、
そういうアルゴリズムになっているのかもしれないね。アルゴリズムは非公開なものだから、分析したり仮説を立てたりして検証するようにしてる。

田中

田中さん

そのとき運営元が推している機能に全力で乗っかるというのは、SNSマーケティングの鉄則だと思う。
インスタ側の意図を感じ取る、というか。


私も「新しい機能が追加されました」って通知がくると、すぐ試すようにしてる。

廣田

廣田さん

情報収集が本当に大事だね。
だからSNSマーケティングをやっている仲間も多いに越したことはなくて、今回の講座では、情報交換ができる仲間をつくってもらえたらなと思っています。


それで、本題に戻るんだけど、ライブ配信は最近もやってる?

田中

田中さん

もちろんやってるよ。
2024年6月9日は5年連続配信記念なの。

廣田

廣田さん

相変わらずすごい…!
5年間、年中無休ってことだよね?

田中さんが代表を務める小柄な女性向けアパレルブランド「COHINA」
COHINAではライブ配信を毎日欠かさず、フォロワーとコミュニケーションを取りながら商品を紹介している。
田中

田中さん

そうそう、お正月も休まずに。


だけど、私が運営している「COHINA」には実店舗がないの。
ライブ配信なんて1日1時間くらいのものだから、実店舗を毎日開けている服屋さんのほうが、よほどすごいと思うんだよね。

廣田

廣田さん

それはそうかもしれないね。


でも、「COHINA」って私から見ても唯一無二な存在で。実店舗にも、普通の通販にもできない体験をつくり出していると思う。
その肝がライブ配信なのかなと思って。

田中

田中さん

ライブ配信がうちの事業を支えていると言っても過言じゃないかもね。ECサイトだけでなく、ライブを参考にしてくれるお客様もすごく多くて。

廣田

廣田さん

ライブなら着用感も分かりやすいし、
気になることはその場で質問できるからね。


あとは、自分が好きなライバーさんが紹介してくれているから買いたくなったり、ライバーさんのコーディネートを真似したくなったりすることもあるよね。


そういう体験で、服にまつわる思い出が豊かになっていく気がする。実店舗はなくても、立体的な購買体験をつくり出せているんじゃないかな。

田中

田中さん

それはまさに目指しているところ。


それから、ライブはとにかく双方向のコミュニケーションが大事。
ただ情報を発信するだけじゃなくて、コーディネートバトルのような、フォロワーさんにその場で投票してもらえる企画も実施してるよ。

廣田

廣田さん

一方的な配信ではなくて、
参加型でタイムリーに進んでいくのがいいよね。


お客さんも、自分が視聴している価値、介在している価値を感じているんじゃないかな。

マーケットリサーチのために始めたライブ配信。

廣田

廣田さん

5年も休まずに配信なんて気が遠くなってしまうんだけど、
COHINAは、そもそもライブ配信を始めようと思ったきっかけがあったの?

田中

田中さん

なんとなくそうなったというのが正直なところかな。


私は大学生のときにCOHINAを立ち上げたけど、洋服をつくろうにも、アパレル業界の経験もまったくないから右も左も分からなくて。
それに、私がやろうとしていた小柄な女性向けのアパレルブランドって世の中的にもまだない領域だったから、本当にニーズがあるのかも分からない。


だから、まずはターゲットとなる人たちの悩みを聞いてみようと思って、ライブ配信を始めてみたんだよね。

廣田

廣田さん

アカウントを伸ばすためというよりは、マーケットリサーチのために始めたんだね。

田中

田中さん

インフルエンサーじゃないから、自分の発信をしたいとか、フォロワーを増やしたかったわけではなくて、私と同じように低身長の人の悩みを解決したかったの。


そういうとき、ちゃんとした企業なら外部のリサーチ会社に委託してアンケートを取ったりするけど、なにせ学生時代はお金がなかった。

廣田

廣田さん

なるほど、
「インスタライブなら無料でリサーチできそうだぞ」と。

田中

田中さん

そうそう、お金をかけずに生の声が拾えちゃう。
「こういうことをやろうと思っているんですが、どう思いますか?」「こういう服があったら買いますか?」というのを本音で聞ける。


そこで視聴者の方と話してみると、みんな私と同じように服のサイズがないことに悩んでいることが分かった。
このビジネスを本気でやってみようと勇気をもらえたのがライブ配信だったね。


最初の頃は視聴者と1対1みたいなこともあったけど(笑)。

廣田

廣田さん

ユーザーのニーズを拾う、リアルな温度感を知るというのはライブ配信のいい使い方かもしれないね。


でも、絢子ちゃんでも視聴者が1人のときもあったなんて、ちょっと意外だった。

田中

田中さん

そんな時期もあったのよ。最初はとにかく必死だった。
インスタライブでフォロワーさんの意見を聞くことが、事業の存続に直結していた感じ。


フォロワーさんのことを頼りまくっていたら、だんだん、熱量の高い人たちがライブに集まってくれるようになってきたんだよね。
みんなで一つのチームになって、一緒に服をつくり上げていった感じだったな。

廣田

廣田さん

そうなると強いよね。
じゃあ、製造の裏側も公開して、フォロワーさんにも意見をもらいながら商品をつくっていったの?

田中

田中さん

それはもう、筒抜けレベルに公開してたね。


「中国から生地が届きました!」みたいな報告もするし、
あとはアパレルあるあるだけど、サンプル品と量産品が全然違うなんてことが起こるじゃない?


それもぜんぶ報告して、そしたらみんな応援してくれたり、「いい工場を紹介しましょうか?」なんて言ってくれる人もいたり。
ほとんど企画会議みたいなものだった。


私が「やばい、そろそろ終電なんで!」って配信を終わらせると、そのあとフォロワーさんから「終電間に合いました…?」ってDMをいただいたこともあったよ(笑)。

廣田

廣田さん

一体感がすごいね。


つくり手としてもすごくエネルギーをもらえるし、きっとフォロワーさんも一緒に楽しんでくれているよね。
お客さんとの距離感って難しいものだけど、理想の関係性の一つだと思う。

田中

田中さん

最初の商品が完成するまで本当に大変だったけど、ありがたいことに販売初日から売上も立ったの。


それも、友達や知り合いが買ってくれたんじゃなくて、ちゃんと商品を必要としてくれる人に届けられた。


それが何より嬉しかったな。

ファンをつくる。ファン同士のつながりをつくる。

廣田

廣田さん

私、感動したことがあるんだけど、
COHINAってお客さんのことを「コヒナーさん」って呼ぶんだね。


ファンネームみたいなものが付いている。
それってすごいことだと思う。

田中

田中さん

インスタのフォロワーさんが名前をつけてくれたんだよね。

廣田

廣田さん

なんだかK-POPアイドルみたいだと思った。
ただのユーザーではなくて、ファンができるブランドは強いよね。

田中

田中さん

実際、K-POPのファンダムの記事はよく読んでいて、人が何かを“推す”心理であったり、持続するコミュニティのつくり方、アイドルとファンの信頼関係のつくり方であったり、参考になることがたくさん。


別の業界から学ぶことも大切だと思ってる。
本当に大事なことって、本質は共通していることが多いから。

廣田

廣田さん

今、「いかにファンをつくるか」というのはSNSマーケティングの重要なテーマだよね。


それから、そのコミュニティが盛り上がり続けるためには、ファン同士のつながりを強くすることも大事だと思う。
自分と同じものを好きな人がいるというのは、楽しくて心強いこと。


そういうつながりをつくっているブランドやアカウントは伸びているよね。
私が運営している「FLAFFY」では、ワンちゃんの飼い主さん同士が仲良くなって、一緒にお出かけしてたりするよ。

廣田さんが代表を務める株式会社FLAFFYが運営するペット情報発信メディア「FLAFFY.me」
FLAFFYのフォロワーさんたちによるオフ会の様子(右端が廣田さん)
田中

田中さん

そういうのいいよね。
COHINAでも、コヒナーさん同士でディズニーに行ったりするんだよ。


前にコヒナ-さんから言われて嬉しかった言葉があるんだけど、
「服に困らなくなったのはもちろん嬉しい。でも、COHINAを知って一番よかったのは友達ができたことです」って。

廣田

廣田さん

それは嬉しいね。


COHINAでは、ライブ配信もコヒナーさんに任せたりしてるの?
それはどういう仕組みで成り立っているの?

田中

田中さん

うちの場合は、ライバーオーディションとかもやっていて。


応募してくれるのは、もともとCOHINAユーザーの主婦の方だったり、OLさんだったり。それで、視聴者投票で選ばれたライバーさんにはデビューライブをしてもらうの。


まさにオーディション番組みたいな感じ。

廣田

廣田さん

じゃあ、自分が推してるCOHINAというブランドの中に、さらに「推しのライバーさん」までできちゃうんだ。
それはどんどん沼っていけちゃうね(笑)。

田中

田中さん

ライバーさんとコヒナーさんの熱量には、
本当に後押ししてもらってる。


熱量と言えば、前に私もお手伝いさせてもらったFLAFFYのイベントもすごかったな。
下北沢がワンちゃんだらけになっていたもんね。


あの熱はどうやって生まれているの?

廣田

廣田さん

あのときもライブ配信で集客していたんだけど、「前日のライブを見て関西から来ました!」なんていう方もいて、ライブ効果を実感したイベントだった。


それから、FLAFFYではアンバサダーを募集していて、要は読者モデルみたいにFLAFFYのメディアに出演OKなワンちゃんたちがいるの。
その子たちに、看板犬としてイベントの受付を手伝ってもらったりね。


私にも愛犬がいるからわかるんだけど、飼い主さんたちはみんな「うちの子が一番かわいい!」と思ってる。
だから、“ワンちゃんの晴れ舞台”をつくってあげることは、私たちが提供できる価値の一つなのかもしれない。

田中

田中さん

ペット業界とアパレル業界、ジャンルは違うけどファンづくりの重要性は同じだね。

廣田

廣田さん

そうだね、他の業界でも同じだと思う。
講座の中では、受講生のみなさんそれぞれに合った、いろんなファンのつくり方を一緒に考えていけたらなと思ってる。

モチベーション維持の秘訣は、等身大の自分を大切にすること。

廣田

廣田さん

ここまでいろんなお話をしてきたけど、正直に言うと、私はライブ配信というものに苦手意識があって。
やり直しがきかない一発勝負だから、今までは、かなり気を張って配信していた。


でも、今日絢子ちゃんの話を聞いて、もっとラフに楽しくやってもいいんじゃないかと思えたの。
だから、受講生にも、これからSNSマーケティングに挑戦する人にも「気張りすぎないでね」って伝えたい。

田中

田中さん

それは本当にそう。
自分のペースで継続できることが一番だから、毎日やる必要もない。


私はよく「どうやってモチベーションを保ってるの?」と聞かれるけど、配信を楽しみにしてくれるフォロワーさんが1人でもいるって、すごく励みになることなの。


だから「フォロワー数が少ないから、ライブ配信なんてまだ早いかな…」なんて思わなくていいし、最初は見てくれる人が1人いれば十分だと思う。

廣田

廣田さん

等身大でいいんだよね。
背伸びしなくていいし、取り繕わなくていい。


どんな配信をすればいいかわからなかったり、フォロワーが伸びなかったりして悩んでいるなら、ライブ配信でその悩みを相談してしまってもいい。


絢子ちゃんも最初はそうだったと思うけど、むしろ、そのほうがフォロワーさんとの距離が近くなったりもするからね。

田中

田中さん

フォロワーさんたちと一つのチームになって、いろいろ試しながら一緒にトライ&エラーしていくことを楽しめるといいよね。
その一体感をつくり出せるのが、ライブ配信なんだと思う。

廣田

廣田さん

それからもう一つ、等身大ということで言うと、「本当に好きなこと、思い入れのあることを発信しよう」というのも今回の講座のテーマにしていて。


私の場合は、ずっと犬を飼っていて、犬が大好きだからFLAFFYの事業をやっているし、絢子ちゃんなら洋服が好きとか、小柄さんならではの悩みとか、「心から想っていること」だから続けられるんだと思う。

田中

田中さん

今は発信する側の熱量が透けて見える時代だよね。
フォロワーさんも目が肥えている。


「このジャンルが儲かるから」みたいな動機でやっていると、結局、付け焼き刃の知識や意見しか発信できないから、ぜんぶバレてしまうよね。

廣田

廣田さん

等身大の自分で、本当に発信したい何かを見つける。
等身大の自分で、誠実にアカウントを運営していく。


とても普通なことに聞こえるけれど、これが、講座で一番大事にしたいこと。


もちろん、私の経験則に基づいたノウハウもしっかり伝えていきたいと思ってる。
例えば、「フォロワーが100人くらいのときはこういうことをしよう。1000人なら、10000人なら、」というようにフェーズごとのアクションをまとめたロードマップも用意しているから、受講生一人ひとりのペースに合わせてステップアップしていけると思う。

田中

田中さん

そのロードマップ気になる。
私も勉強させてもらいます(笑)。

廣田

廣田さん

詳細は講座をお楽しみに!


今日はライブ配信についていろいろ教えてもらって、すごく“わたし得”な対談になってしまいました。忙しいところありがとう。
講座のゲスト講師も、よろしくお願いします。

田中

田中さん

私も受講生のみなさんとお会いできるのを楽しみにしています!

※本クラスの応募は締め切りました

現在、募集中のクラスはこちら

この記事に登場する人

廣田 智沙

さん

株式会社FLAFFY 代表取締役

ひろた・ちさ 大学卒業後、人材系のスタートアップ企業に就職し、BtoBマーケティングの責任者として全体戦略の立案から実行までを担当。その後、パリコレ常連の日本ブランド『beautiful people』に国内外のマーケティング・PR責任者として転職。2021年に「イヌとヒトの関係をフラットに」を理念に掲げる株式会社FLAFFYを設立し、犬用のアパレル事業や3万人規模のDOG FESを開催するイベント事業などを展開。メディア事業では、国内最大規模の約15万人のフォロワーを有する犬情報メディア『FLAFFY.me』や、愛犬とのお出かけに特化したメディア 『イヌといこうよ』など、総フォロワー20万人超のメディアを運営している。

SNS・メディア

田中 絢子

さん

COHINA 代表

早稲田大学在学中に小柄女性向けアパレルブランド『COHINA(コヒナ)』を立ち上げ、「あなたに陽が当たる服」をコンセプトに身長150cm前後の女性を輝かせるファッションを提案。 その後、新卒でGoogle Japanに入社して約1年間、Google社での広告営業とCOHINAのブランドディレクター業務を両立させる。 現在はGoogle Japanを退社してブランドディレクターに専念。インスタライブの配信を毎日欠かさず、COHINAのInstagramアカウントはフォロワー22万人強。小柄女子の一大コミュニティを築き上げている。

SNS・メディア

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