2024/07/16

デジタルマーケティングの最前線を走り続けた約20年。導き出された、キャリア形成の秘訣とは?

インタビュー
#広告運用#マーケティング#スキルアップ#インタビュー

今回インタビューにお迎えしたのは、デジタルマーケティングの最前線、株式会社サイバーエージェントで約20年に渡り経験を積んできた、備前光隆さん。PERSOL MIRAIZの少人数制クラスではデジタルマーケター志望の方に向けた講義の開催も予定しています。 ここでは、備前さんのこれまでのご経歴を深掘りしながら、デジタルマーケターとして身につけたい基本のマインドセットや、社会人としてキャリアを考える上でのヒントをお伝えしていきます。

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様々な角度からデジタルマーケティングにアプローチ。

新卒での入社から現在まで20年近くにわたってサイバーエージェントで活躍してきた備前さん。まずは、これまでのご経歴を振り返っていただきました。

「入社当時はSEM(検索エンジンマーケティング)のコンサルタントとして、主にリスティング広告を担当していました。限られた予算の中で、購入するキーワードとその金額を検討し、表示されるクリエイティブまでを企画。

毎日の分析結果をまとめて、臨機応変にキーワードや金額、クリエイティブを修正する。その一連の流れを担当する中で、デジタルマーケティングの基本が身につきました。

その後、広告プロダクトを開発する部署に異動して、商品の企画開発に従事しました。例えば、リターゲティングに焦点を当てた『Dynalyst』などが代表例になります。

そして再び部署が変わり、自社メディアであるAMEBAの立ち上げに携わっていた時期もあります。データ分析を軸に、主にはユーザーのサービス利用を促進させるためのデジタルマーケティングを行っていました。

現在はプロダクト開発に戻って、外部のパートナー企業と協業しながら、先ほどのような広告プロダクトの企画開発などを行っています」

SEM、プロダクト開発に、自社メディアの立ち上げ。一見、共通項のない経歴にも思えますが、異なるポジションを経験したからこそ得られた学びがあったと言います。

「サイバーエージェントの中でも、これだけ異なる領域を経験している人はあまりいないと思います。ただ、デジタルマーケティングという共通の軸があるので、これまでの経験は相互的に役立っているんです。

例えば、プロダクト開発で競合優位性を強く意識していたので、『同業他社の多くがこの広告主向けの機能開発に注力するだろうから、あえてうちは別の広告主カテゴリ向けにサービス展開しよう』といった思考が当たり前になったのです。

仕事は経験した分だけ、相乗効果が生み出せます。私のように部門単位でなくとも、案件単位でも学びは蓄積される。選り好みせずに様々な仕事に触れれば、視野が広がり、思いがけない学びに出会えるかもしれません」

価値観を起点に、ブレない目標を立てよう。

異なる領域での経験を糧にして、自らのキャリアを前進させてきた備前さん。仕事への向き合い方も、その過程で変化したと言います。以前は、どんなスタイルで働いていたのでしょうか。

「私が入社した頃のサイバーエージェントは今ほどの知名度はなく、社員数ももっと少なかったんです。
安定とは程遠い環境だったので、何かあったときにはいつでもどこへでも好条件で転職できる状態にしておかなければとばかり考えていて、他に目標のようなものはありませんでした。

量が質を生むという考えのもと、当時はひたすら数をこなすばかりでしたね。自分のキャパシティやスキルに対して200%の仕事を受けるイメージで、とにかく量を浴びることでスキルを向上させて、200%を150%、100%、80%で回せるようになっていく。
その中で、仕事に必要な筋肉が鍛えられたので、その働き方自体は、今振り返っても大きく間違ってはいなかったと感じています」

転職に備えて自分の市場価値を上げることを意識していたものの、あるときを境に、より明確な目標を持つことの重要性を感じたそう。それ以来、備前さんは目標設定の仕方にこだわりを持っています。

「今振り返ると『転職に有利でありたい』というのは、あまり良い目標とは言えません。
理由は、曖昧かつ、ブレやすいものだからです。曖昧だと、具体的な行動に落とし込みづらくなります。時間経過や状況によってブレやすいと、掲げている本人が目標を信じきれないからモチベーションに紐づきにくくなります。

では、どうしたらいいのか。
まずは自分の“価値観を言語化する”ことから始めてみました。

価値観とは、自分の中にある譲れないもの、今後も変わることのない根源的な欲求のようなものです。そこと紐づけて目標を組み立てることで、目標自体も揺らぎのないものになり、行動力や吸収力の向上につながります。

自分は何に楽しさを感じるんだろう、どんな環境で働きたいんだろう。まずは自問自答を繰り返しながら、自分の中にある“ブレない軸=価値観”を見つけていきます。

私の例で言えば、大きく2つの価値観に辿りつきました。
一つは、業界の最先端を走り続けること、あるいはその最先端を自ら生み出せるかもしれないことが自分のモチベーションであり、楽しさだと気がつきました。今もこれからも、変わらずにやっていきたいと思える部分です。

もう一つ発見したのは『一緒に働くメンバーに幸せであってほしい』という、周囲の人に対する価値観でした。週7日のうち5日も働くからには、その時間を少しでも楽しく過ごしてもらいたい。彼らのスキルアップやモチベーションアップに寄与したい、という想いを改めて意識するようになりました。

価値観を言語化できたら、それを軸にした目標を設定し、具体的な行動に落とし込んでいくだけです。

私の例で言えば、『最先端を走り続けるために学ぶべきもの、磨くべきものは何か。どんな環境に身を置くべきか』を深掘りして、半年後、1年後と具体的な計画を立てていきます。

更にその先は、マーケットやトレンドがどう移り変わるか正確に読めないことも多いので、価値観が大事になってくると思います。私が20年近くサイバーエージェントに在籍しているのは、ずっと業界の最先端を走っている会社だからであり、社員一人一人を大事にする会社だからなんです」

20代こそ、デジタルマーケティング。

日々新しいプラットフォームが誕生し、広告の手法も変わり続けるデジタル領域。まさに「最先端」が常に進化し続けるこの業界では、流動性に対応するためのインプットが重要だと話してくれました。

「私が入社してからの約20年間で、ガラケーはスマホに取って代わられ、AIが当たり前に活用される時代になりました。デジタルマーケティングの世界は常にスタンダードが入れ替わっていますから、トレンドのキャッチアップが欠かせません。

その点で言えば、20代の若い人ほど有利だと思います。TikTokのような縦型スクロールの動画も、彼らは当たり前に使っています。何かを調べる時も、検索結果から探すこともまだあるかもしれないですが、ChatGPTを使うことも一般化していますよね。それが常識の世界で暮らしてきたことは、それだけで大いに武器になると思います。

ただ、もちろん仕事にするのであれば、さらなるインプットが必要です。

その際には、知識だけで満足せずに体験してみることです。
例えばChatGPTが出てきたときに、すぐに試したかどうか。知識だけ持っていても活用できないので、その実態を知るために必ず触ってみる。

あとは、情報を単体で得るのではなく、個々人の意見まで紐づけて頭に入れることです。ニュースを追いながら、それに対するユーザーや有識者のコメントにまで目を通すんです。マーケティングに欠かせない視点を、効率よくインプットできますよ。トレンドを逃さず仕事に活かすために、私もこの2点は特に意識しています」

今回のPERSOL MIRAIZの少人数制クラスで、備前さんにはデジタルマーケティングの基本を学べるクラスを開講いただきます。

「講義は、サイバーエージェント時代の後輩である大前さんと二人でやらせていただきます。
その中で、私が担当するのは、デジタルマーケティングの『分析』にフォーカスした内容です。

細かな数字の見方や結果のまとめ方はもちろん重要。
しかし、分析レポートにおいて特に意識してほしいのは、次のアクションを提案することです。

綺麗にグラフにまとめて満足してしまいがちですが、そもそもなぜ分析をするのかを考えれば自明ですよね。メンバーのレポートを見ていても、この視点が抜け落ちていることが多いんです。

私自身も、分析結果だけでなくアクションプランまで盛り込むように今でも意識しています。こうしたキーポイントとともに汎用性の高い基礎的なスキルを身につけてもらえる場となっているので、ご興味のある方はぜひ参加していただけると嬉しいです」

今回の少人数制クラスは、デジタルマーケターとして知見を増やしたい方、新しいキャリアを描きたい方にとって、実践を通してノウハウを習得できる貴重な機会。ご興味のある方は詳細を確認の上、ご応募いただければと思います。

この記事に登場する人

備前 光隆

さん

株式会社サイバーエージェント AI事業本部 アドテクDiv統括

慶應義塾大学法学部を卒業後、新卒で株式会社サイバーエージェントに入社。広告営業、SEM・ディスプレイ広告のコンサルティングを経験するなかでデジタルマーケティングのいろはを学ぶ。2014年には広告プロダクトを企画・開発する部署に異動し、『Dynalyst』をはじめとした広告プロダクトの開発を任された。2016年からはABEMAの立ち上げにも中核メンバーとして参加し、ユーザー分析やサービス内回遊を担当。現在は、同社のAI事業本部にて大手企業との協業プロジェクトなどを通じ、生成AI等の最新技術を駆使した広告サービス・プロダクトの企画・開発に従事している。

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