2024/05/13
AIが急速に発展する昨今、AIによって自分の仕事がなくなるのではないかと心配している方もいるのではないでしょうか?この記事では、AI導入の現状やAIによって奪われるかもしれない仕事、影響を受けにくい仕事などについて解説します。
AIとは「Artificial Intelligence」を略したもので、日本語で人工知能のことです。チェスや将棋を指すAIや経済の動向を予測するAIなど、AIの活かされ方はさまざまで、最近では文章や絵画を指示に従って作り出す生成AIが注目されています。
2015年に株式会社野村総合研究所が発表した分析では「日本の労働人口の約49%が技術的には人工知能やロボット等により代替できるようになる可能性が高い」※1とされています。
また、金融サービスを世界展開しているゴールドマン・サックス・グループが2023年に発表した調査でも、約3億人分の仕事がAIにより自動化される可能性が高いとされています。※2 この調査では同時に、ほとんどの仕事や産業において自動化される部分は限定的であるため、AIが仕事を代替するというよりAIが仕事を補完するという状況になる可能性が高い、とも記述しています。
このように、AIが人間の仕事に与える影響は非常に大きいと推測されます。だからこそ、AIが社会に浸透していくことを前提に、これからの働き方や仕事内容といったキャリアプランを考えることが重要です。
この記事では、日本のAI導入状況やAIに関連する職業をご紹介し、AIの影響を受けやすい仕事の特徴やAIを仕事に活用する方法について解説します。AIが仕事にどのような影響を与えるかを理解し、キャリアプランの作成に役立てましょう。
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※1 出典:「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に~601種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算~」、株式会社野村総合研究所
※2 出典:「Generative AI could raise global GDP by 7%」、 Goldman Sachs
では、日本におけるAI導入は現在どれほど進んでいるのでしょうか?ここでは、日本におけるAI導入について見ていきましょう。
スタンフォード大学は、「Artificial Intelligence Index Report 2023」において、2022年における各国のAI事業への民間投資額を公表しました。民間投資額1位は、アメリカ合衆国の約474億ドルです。これは2位である中国の約134億ドルの約3.5倍であり、アメリカの経済規模の大きさやアメリカでのAIに対する注目度の大きさが分かります。そのほかの国は、イギリスが約44億ドル、イスラエル、インド、韓国が30億ドルより少し大きいといった状況です。これに対し日本のAI事業への民間投資額は約7億ドルであり、アメリカの約67分の1、韓国の約4分の1となる金額です。
日本のAI関連分野の発展について、ほかのデータも見ていきましょう。IT専門調査会社であるIDC Japan株式会社による、542社を対象とした2023年の調査では、PoC(実証実験)からAIを利用している会社は72.4%となりました。※4 2018年の調査ではこの値が58.5%だったので、この5年間で約14%上昇したことが分かります。スローペースではあるものの日本のAI導入は徐々に進んでいると判断することができます。
※3 出典:「Artificial Intelligence Index Report 2023」( Stanford University Human-Centered Artificial Intelligence)
※4 出典:「2023年 国内AIシステムに関する 企業ユーザー調査結果を発表」(IDC)
AIの発達とともにAIに関連する職業も注目度を増しています。世界経済フォーラムが公表した「仕事の未来レポート2023」※1によると、急成長している職種のトップはAI・機械学習のスペシャリストです。このレポートでは、AIと機械学習が産業の形を継続的に変革していくことにより、100万人の雇用が増加すると予測しています。また、データアナリストやデータエンジニアなどの職種でも30~35%の需要増加が見込まれています。AIと機械学習のスペシャリストとは具体的にはどのような人を指すのでしょうか。具体的な職種をいくつか見ていきましょう。
職種 | 主な業務内容 |
機械学習エンジニア | 機械学習モデルの実装・運用・環境構築 |
AIエンジニア | AIの開発・実装、蓄積したデータの解析・活用 |
データサイエンティスト | ビッグデータの収集・解析・活用 |
コンピュータービジョンエンジニア | 画像や動画などの視覚情報に関するAIの開発、実装 |
自然言語処理(NLP)エンジニア | 自然言語処理技術の開発、実装 (自然言語処理…人間が使う言語をコンピューターで処理・分析する技術) |
AI研究者 | AIの研究、新しいツールや製品の開発 |
AI ビジネス開発マネージャー | AIに関連する事業開発の管理 |
AIプロダクトマネージャー | AIに関連するプロダクトの開発管理、販売管理 |
AIコンサルタント | AI導入のサポート、AIを活用した事業のコンサルティング |
プロンプトエンジニア | AIから最適な出力を得るための命令の設計 |
上記の表で紹介した業務内容は一言で簡潔にまとめたものです。また、AIエンジニアはAIに関する業務全般に関わる人を指すので、機械学習エンジニアもAIエンジニアに含まれるといったように、業務内容がかぶっている場合もあります。興味のある職種は調べて詳しい業務内容を確認してみましょう。
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※4 出典:「The Future of Jobs Report 2023」(World Economic Forum)
前述したAI関連の仕事以外には、どのような分野や仕事が成長するのでしょうか?ここからは、AI関連以外で今後成長が見込まれる分野や、AIの影響を受けにくい仕事を、「仕事の未来レポート2023」を参考にいくつかご紹介します。
仕事の未来レポート2023によると、農業に関する仕事は今後も成長し、新たに300万人の雇用が生まれる可能性があると予測されています。これから需要が増えていく仕事と見なされている理由は、農業は生成AIの影響を受けにくいことや、気候変動に対する投資の増加などが挙げられます。
仕事の未来レポート2023によると、教育関連の職種の雇用は需要が高まり、2023年から2027年の間に職業教育の教員や大学・高等教育教員の雇用は合計で約300万人増加すると予測されています。この成長は、AIをはじめとしたテクノロジーの発展に伴い、人々がそれらのテクノロジーに対応できるよう教育していく取り組みの重要性が増すことが背景の1つです。
仕事の未来レポート2023によると、ヘルスケア分野は今後も成長が見込まれています。その理由の1つには、世界的な人口増加と高齢化が挙げられ、健康意識が高まっている現代において、ヘルスケア分野は莫大な需要があることが考えられます。そのほかにも、ITに慣れていない人の健康管理や介護など、必ず人の手が必要となる場面があることも需要増加の理由として挙げられるでしょう。
ヘルスケア業界では、AIに代替されるということではなく、AIを活用した業務にシフトするといった形式でAI導入が進められています。パンデミックといった世界的危機に対抗するためにも、AIを有効活用した体制の整備が必要でしょう。
AIの特徴は動作の正確性とスピードにあります。また、人間とは異なり疲労によって精度や効率が落ちることもありません。そのため、マニュアルに従えば行えるような単純作業は、効率化が優先されAIが担っていく可能性が高いと予測されます。これらを踏まえると、需要が減少する可能性があるとされているのは、以下のような職業です。実際、最初の5つは仕事の未来レポート2023で雇用が減少していくと推測されています。
たとえば、データ入力や工場の作業員は、内容によっては単純作業であることも多く、正確かつスピードが速いAIにより自動化される可能性があります。また、レジ操作は画像認識やタグの自動読み込みなどのAI技術によって、既に自動化されている店舗もあります。さらに、自動運転や顔認識技術などの発達により、運転手や警備員といった職種の仕事もAIが担っていくようになるかもしれません。
AIが発達していく現代社会において、豊かなキャリアを形成するために必要なことは、AIをうまく活用しようとする姿勢でしょう。ここでは、仕事にAIを活かす方法を4つご紹介します。
AIを有効活用するためには、AIに関する最新情報を入手することが大切です。AI技術は急速に発展しており、新しいサービスの登場や既存サービスのアップデートのスピードも速いため、常に最新情報を取り入れることが大切です。また、仕事で活かす前に日常で使ってみることから始めるのもよいでしょう。生成AIは一般向けのサービスもあり、無料で利用できるものもあります。AI活用にハードルを感じている方やAIのイメージが湧かない方は、最初の一歩としてまず生成AIを日常で使ってみるのがおすすめです。
仕事の未来レポート2023では、AIとビッグデータに関するスキルは大量雇用時に重要視されるスキルの15番目に位置付けられていますが、2027年までの研修の優先順位は3位、従業員5万人以上の企業に限った場合では1位となっており、これからより重視されていくことがうかがえます。リスキリングに取り組み、AIに関連したスキルを身に付けることで、自らのキャリアの選択肢を増やせるでしょう。
AIは機械的にタスクをこなすことに長けていますが、人間の心を理解したり、人間の知能や創造性を再現したりすることは難しいとされています。AIをうまく活用するためにはそのような特性を理解し、AIが苦手なことを自らの手で補うことも大切です。コミュニケーション能力や課題解決力、人と関わり合いながらチームで仕事をする力といったソフトスキルを開発することで、より仕事の価値を向上させることができるでしょう。
ここまで、AIの導入により予想される仕事の変化や日本の現状、AIを活用するための方法についてご紹介してきました。ご紹介したのはあくまで予測であり、需要が減少していくと考えられている職業が本当にそうなるとは限りません。加えて、AIの発達とともにAIに関連する仕事や職業も増えており、今後新たな職業が生まれる可能性も十分にあります。このようなことを踏まえると、AIとの関わり方を考えながら、今の仕事やこれからのキャリアプランを考えることが大切といえるでしょう。
AIの発達は比較的最近の出来事であるのもあり、AIについての知識や技能を身に付けることは今からでも遅くありません。AI領域に限らずとも、リスキリングに取り組み、新しいスキルを身に付けることで、キャリアの選択肢を広げませんか?
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さん
一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事 チーフ・リスキリング・オフィサー / SkyHive Technologies 日本代表
早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業。2011年、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人設立に尽力。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。日本全国にリスキリングの成果をもたらすべく、政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。著書『自分のスキルをアップデートし続ける「リスキリング」』(日本能率協会マネジメントセンター)は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」イノベーター部門賞を受賞。2023年9月に続編『新しいスキルで自分の未来を創る「リスキリング実践編」』を上梓。
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