2024/03/05
マイルストーンとは、ビジネスシーンにおいて、プロジェクトや業務進捗における中間目標のことを指します。マイルストーンを設定することで、進捗管理をしやすくなるといったメリットが期待できます。今回は、マイルストーンの意味や活用方法、注意点を詳しく解説します。
マイルストーン(milestone)とは、マイル(mile:距離)と、ストーン(stone:石)という英語が合わさった言葉です。もともとは、古代ローマの時代、ローマから各地に延びる街道に1マイル(約15km)ごとに置かれた石をマイルストーンと呼んだことが起源です。ローマを起点としたときに、どの地点にいるかを示す標識のような役割として使われていました。
ビジネスシーンにおけるマイルストーンは、プロジェクトや業務の完遂に向けた中間目標や節目、区切りを意味します。特に重要なポイントや区切りの工程をマイルストーンとして設定し、マイルストーンごとに進捗や結果を管理することで、プロジェクトを着実に進めることができます。
この記事では、混同しやすい言葉やシーン別の使い方、設定する際の注意点をご紹介します。マイルストーンの意味や役割を理解し、正しく設定することは、プロジェクトの円滑な進行やゴールの達成のために重要です。しっかり理解して、業務に役立てましょう!
今週中にプロジェクトのマイルストーンを設定しよう
(マイ…ストーン?)
マイルストーンは、重要な節目や中間目標のこと。プロジェクトのゴールに向けて、特に重要な工程を明確にするために設定するんだよ。
プロジェクトを確実に遂行するためには、ゴールまでの道のりのなかで重要なポイントを明確にすることが大切です。マイルストーンを設定し、問題なく業務が進んでいるかを定期的に確認しましょう!
プロジェクト管理や業務の進行管理の場面では、マイルストーンのほかにも多くのビジネス用語が使われます。ここからは、マイルストーンと混合しやすい言葉との違いを、例を交えながら解説します。
スケジュール表とは、全体の計画や日程を定めたものです。それに対してマイルストーンは、全体の計画・日程のなかで特に重要なポイントや節目を指します。
たとえば、プロジェクトの完了までに、工程A~工程Cの3つがあるとします。この場合、下記のように工程A~工程Cをまとめて日程を組み、計画を立てることがスケジュールです。
一方、マイルストーンは各工程の区切りや中間目標であり、それを終えなければ次に進めないものを指します。この例におけるマイルストーンは、8月20日、8月25日、8月30日です。
タスクとは、ゴールを達成するために必要な1つ1つの細かい作業や業務を指します。タスクを完了していくことで、マイルストーンに到達できると考えると分かりやすいでしょう。たとえば、ゴールまでに工程Aと工程Bがあり、工程Aを完了しないと工程Bに進めないとします。この場合、各工程を完了するために必要な作業や業務がタスクであり、各工程における最後のタスクがマイルストーンであると捉えられます。
工程A
工程B
ロードマップとは、プロジェクト全体を俯瞰的に見て、大まかな手順や計画をまとめたものです。一方、マイルストーンは、ロードマップのなかで特に重要なポイントや中間目標を指します。マイルストーンはロードマップの一部であると捉えるとよいでしょう。また、ロードマップもスケジュールも、計画という点では同じですが、ロードマップは時間軸がスケジュールよりもおおまかであり、スケジュールは日程レベルまで落とし込まれていることが一般的であるという点が異なります。
ガントチャートとは、プロジェクト全体の進捗を管理するための表を指します。縦軸に細かなタスクや担当者、所要時間の目安を記入し、横軸に開始予定日と完了予定日、実際にかかった(かかっている)時間を記入する形式が一般的です。
ガントチャートは、全体の進捗や作業効率を俯瞰するためのものであるという点でマイルストーンと異なります。ガントチャート上のタスクを段階に応じて区切り、マイルストーンとして設定すると、全体像や進捗状況をより把握しやすくなるので、組み合わせて使うのがよいでしょう。
また、ガントチャートと似た用語で「WBS(Work Breakdown Structure)」があります。WBSとは、作業分解構成図のことで、プロジェクト全体を作業(Work)に分解(Breakdown)し、構造化(Structure)したものを指します。ガントチャートとWBSは似ていますが、ガントチャートの目的は進捗を管理することである一方、WBSはタスクを洗い出し構造化することが目的です。そのため、WBSでタスクを漏れなく洗い出したうえで、ガントチャートを作成する手順が効率的です。
さらに、WBSは「プロジェクトスコープ記述書」をもとに作成されるのが一般的です。プロジェクトスコープ記述書とは、プロジェクトの「スコープ=作業範囲」を明記したものを指します。このスコープも、プロジェクト管理においては重要な用語です。
クリティカルパスとは、プロジェクトを最短で完遂するために重要な一連のタスクのことです。プロジェクトの最初の工程から最後の工程までを依存関係で結んだときにできる、最も長い経路がクリティカルパスとなります。つまり、クリティカルパス上にある工程が1つでも遅延したらプロジェクト全体に影響するということです。だからこそ、クリティカルパスの工程やタスクには、マイルストーンを適度に置き、スムーズな進行を促す必要があるのです。
マイルストーンの意味や、混同しやすい言葉との違いについて解説してきました。以下では具体的なマイルストーンの活用例についてご紹介していきます。ただし、今回ご紹介するものはあくまで一例です。実際はより細かくマイルストーンを設定しなければならないケースもあります。各工程を細分化したうえで、全体への影響度が高いものがある場合は、それに応じてマイルストーンを設定しましょう。
システム開発では、一般的に下記のような工程があります。これらの工程をマイルストーンとして設定するのが一般的です。
商品開発の工程の例は下記の通りです。これらの工程をマイルストーンとして設定するとよいでしょう。
Webページ制作は、システム開発や商品開発に比べると長期化するケースは多くありません。しかし、正確な進捗管理のためにも、下記のような工程にマイルストーンを設定するのがおすすめです。
ここまで、マイルストーンの意味やシーン別の活用例についてご紹介してきました。ここからは、マイルストーンの重要性について解説します。マイルストーンを設定する意味をしっかり理解して、業務に活かしましょう。
マイルストーンを設定することで、プロジェクトの全体に対しての現在位置を把握できます。また、もしタスクに遅延が発生しても、マイルストーンまでに調整すれば問題なく進行できるため、スケジュール調整の目安としても役立ちます。そのため、ガントチャートと併せて活用することで、プロジェクト全体の状況を分かりやすく可視化するとよいでしょう。
マイルストーンは、進捗管理だけでなく、品質管理としても役立ちます。ビジネスの場では、スケジュール通りに進めることだけでなく、求められる品質に応えることが大切です。だからこそ、マイルストーンを設定し、「この日にこのレベルまで仕上げないといけない」という認識を持つことで、最終的な成果物の品質の保障や向上が期待できます。
中長期的なプロジェクトや、工程が複雑なプロジェクトは、全体像を把握するのが難しいものです。そのため、ゴールに対しての現在地や、どこに向かっているのかというこの先の流れを、ときに見失ってしまいます。しかし、マイルストーンという小さなゴールを設定しておけば、どこに向かうべきか関係者全員で認識を合わせることができます。
マイルストーンは中間目標であるため、達成するごとに小さな成功体験を積み上げることができます。特に、達成するまでに時間がかかる大きなプロジェクトでは、「プロジェクトが確実に進んでいる」という実感を得ることもモチベーション維持の大切な要素といえるでしょう。
マイルストーンの設定には、さまざまなメリットがあることをご紹介してきました。実際にマイルストーンを設定する際は、下記のようなポイントを押さえるのがおすすめです。
細かく設定し過ぎてしまうと、マイルストーンの作成に時間がかかってしまうだけでなく、何か変更が起きた際に融通が利かなくなる恐れもあります。また、全体像を把握しないと、マイルストーンとして設定すべき重要なポイントが抜けてしまったり、順序が逆になってしまうこともあります。
マイルストーンはプロジェクトの達成のために設定される小さな目標です。理想ではなく現実性を考えて、抜け漏れなく設定することが大切です。
スケジュール管理や進捗管理、品質管理は、どの業界・職種でもビジネスパーソンにとって必須スキルの1つです。マイルストーンをしっかり理解し活用することで、プロジェクト成功への手助けとなるでしょう。また、大規模なプロジェクトに限らず、自分のタスク管理の際にもマイルストーンを意識することで、ゴール達成に向けて効率的に業務を進めることができます。慣れないうちはマイルストーンの設定が難しく感じるかもしれませんが、ツールやフォーマットを活用しながら身に付け、プロジェクトをスムーズに進めていけるようになりましょう!
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