2024/03/06
スキームとは「計画」や「構想」といった意味合いで使われるビジネス用語です。今回はスキームについて、言葉の意味や似た言葉との違い、ビジネスシーンでの使い方などについて詳しく解説します。
スキームとは、ビジネスシーンにおいて「計画」や「構想」といった意味で使われます。語源である「scheme」は、「(注意深く練られた)計画」「体系」「陰謀」という意味の英単語です。
スキームが意味する「計画」とは、おおまかな計画のことではなく、より実現を見据えたニュアンスが含まれます。スキームは、目標を達成するための具体的な行動や施策、手順を想定し、それらがどのように体系的に機能するのかを想定して設定されます。スキームは以下のように使われます。
<スキームの例文>
なお、海外の方とやり取りする際には注意が必要です。スキームの元となる英語の「scheme」は、「陰謀」や「企み」といったネガティブな意味も持ち合わせます。英語圏では言葉の意味を誤って認識される可能性があるため、使い方に注意しましょう。
この記事では、スキームの意味や使い方の解説に加え、スキーム図の作り方についてご紹介します。
「新規案件のスキームを検討してくれる?」
(スキー…?)
「スキームとは、体系的な計画という意味だよ」
スキームという言葉は、普段の生活ではあまり使いませんよね。ビジネスシーンでは「事業スキーム」「スキーム図」という言葉で使われることもあります。言葉の意味が分からなくて困らないように、ぜひこの記事で理解を深めましょう!
スキーム図とは、スキームの内容を図を用いて分かりやすく整理したものを指します。スキーム図のメリットとして、スキームの内容を視覚的に捉えることができて理解しやすいことが挙げられます。まずは、スキーム図の種類からご紹介しましょう。
スキーム図には大きく樹形型・相関型・フロー型の3つがあります。樹形型はメインとなる考えや組織から、さまざまな要素が派生している仕組みを表現でき、事業スキームの作成に用いられることが一般的です。相関型はさまざまな他者との関係を表現でき、主にほかの会社とのやり取りを表すために販売スキームや事業スキームで用いられています。またフロー型は時系列に沿った流れを表現でき、主に運用スキームで用いられています。
スキーム図の作り方は主に以下の3ステップです。それぞれのステップにおけるポイントもご紹介します。
[ 1 ] 情報やリソースを明確にする
初めに、スキームの重要な情報となる「ヒト、モノ、カネ」について整理しましょう。またこのとき、誤った情報を取り入れないようにしっかり確認することが大切です。
[ 2 ] 関係性を記号で表す
次にそれぞれの関係性を記号で表します。たとえば、時系列で「ヒト、モノ、カネ」の移動を矢印で表したり、ヒトや企業を図形やイラストで表します。注意点としては、記号の種類が多過ぎると分かりにくくなってしまうため、記号の種類は絞って表しましょう。
[ 3 ] 記号を配置・図式化する
最後に記号化したものを配置したり、図式化したりしましょう。スキーム図は分かりやすく伝えるツールであるため、なるべく簡単でシンプルなデザインや配置を心がけましょう。
実際に企業が作成した、公開されているスキーム図を見てみましょう。スキーム図作成の参考にしてみてください。
出典:事業スキーム(製造・サービス業),(みずほリサーチ&テクノロジーズ)
出典:事業信託(太陽光発電事業等)(楽天信託株式会社)
ここからはスキームと混合しやすい言葉について、ビジネス用語としての意味やスキームとの違いを解説していきます。
フレームワークとは、基本となる「枠組み」や「構造」といったものを表す英語です。ビジネスシーンでは、主に課題解決や意思決定の際に用いられる「思考の枠組み」を指します。たとえば、マーケティングの環境分析に使う「PEST分析」や「SWOT分析」、「3C」などが挙げられます。スキームが計画や構想であるのに対し、フレームワークはあくまで「枠組み」です。「フレームワークにあてはめて考える」などのように使われます。
プランという言葉は「計画」や「予定」という意味で用いられ、ビジネスシーンだけでなく、幅広い場面で用いられる言葉です。スキームは、計画や構想を実現するための状態を図などで可視化することに重点が置かれていますが、プランが指す計画は、実現のための具体的な状態の可視化を問わず広く使われます。また、「半年後のプラン」など時系列に重点が置かれて用いられることもあります。
スキーマという言葉は音が似ているのもあり、しばしばスキームと混同してしまいがちな単語です。スキーマ(schema)とは、「図式」や「図表」「概要」といった意味を示す言葉です。計画の概略や、計画を簡単な図に落とし込んだものを指します。スキームとの大きな違いは、具体性の有無です。スキームは目標達成に向けた手順や行動が具体的に想定された計画であるのに対して、スキーマは計画の大枠や細かい部分を省いた状態を図式や図表で表したものを指します。
フローという言葉は日本語で「流れ」という意味です。皆さんのなかにはフローチャートという言葉を耳にしたことがある方も多いかと思います。ビジネスシーンでは、「業務の流れ」を指すことが一般的で、フローを作ることで業務完了までの過程を可視化することができます。そのため、明確な目標を達成するための具体的な計画であるスキームとは異なります。
ロジックとは「論理」や「道理」といった意味の言葉で、こちらも広い場面で用いられています。ビジネスシーンでも、「論理」といった意味で使われ、ロジックツリーや、ロジカルシンキングというように複合語で用いられるケースもあります。
ここからは、ビジネスシーンでよく使われるスキームの複合語についてご紹介します。スキームの基本の意味は変わりませんが、使う目的によってさまざまな使われ方があるため、ぜひ参考にしてみてください。
事業スキームとは、企業が自社の事業について具体的な行動や手順を体系的にまとめた計画のことです。目的としては、新規事業の計画を見直す際や、事業内容を社内で周知する際などに使われます。
資金調達スキームは、金融機関から融資を受けたり助成金を受けたりする際に作成する計画のことです。資金運用の流れや使用目的などが含まれています。
M&Aは「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略で、企業の合併・買収を意味し、M&Aスキームとはそれらについての体系的な計画を指します。M&Aスキームには、企業がどういった手法で合併や買収をするかの計画がまとめられています。主なM&Aスキームとして、自社株式を売却して譲渡する株式譲渡や、自社事業を売却する事業譲渡などがあります。
運用スキームは主に金融業界で使われ、資産の運用方法や運用状況を図式や枠組みを用いてまとめた計画のことです。顧客が資産運用に関して理解を深めたり、投資の判断材料にしてもらったりするために使用されます。
投資スキームも主に金融業界で使われるもので、こちらは利益向上のために金融商品に対してどのような配分で投資をするかを、図式的にまとめた枠組みを伴った計画のことを指します。
販売スキームは、「売上達成」という目標のために商品の具体的な販売方法や流れを体系的にまとめた計画のことです。販売スキームを作成することで、自社商品の販売状況を確認することができ、課題発見や改善案の提案などにつながります。
ここまで、スキームについて解説しました。スキームはさまざまな使われ方をしますが、「体系的な計画」「枠組みを持った計画」という意味は共通しています。また、今回はスキーム図の作り方もご紹介しましたが、自社の事業やクライアントの販売商品・サービスについてのスキーム図を作成してみることで、より事業の内容や課題を把握し、理解することができるでしょう。スキーム図を作成するには俯瞰的な視点が必要なので難易度が高いかもしれませんが、ぜひ挑戦してみてくださいね。
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