2024/03/12
バッファとは、ビジネスにおいては余裕、予備、緩衝という意味で使われています。ただし、業界によって使い方や意味合いは異なります。今回は、各業界におけるバッファの意味や例文、バッファを設定することのメリットについて解説します。
バッファ(またはバッファー)とは、英語のbufferに由来し、日本語に訳すと「緩衝器」や「緩和物」といった意味です。ビジネスシーンでは、一般的に時間や予算、人員、在庫などに対する「余裕」や「予備」などを指します。たとえば、あるプロジェクトを進めるうえでの予算やスケジュールの余裕・予備はバッファと呼ばれます。また、「緩衝」という意味で、仲介やサポートで間に入る人間や企業のことをバッファと呼ぶ場合もあります。
今回は、ビジネスにおけるバッファの意味や使い方について詳しく解説します。
もしものときのために、スケジュールにバッファを取っておこう。
(バ…バッハ?! 作曲家の?)
バッファとは、余裕を持たせる、という意味だよ。
バッファは日常生活で耳にする機会が少ないため、社会人になるまで知らなかった、という方もいるかもしれません。ビジネスシーンではよく使う単語なので、意味や使い方を覚えておきましょう!
先ほども述べたように、ビジネス用語として使われるバッファには、資源や人員、時間の余裕や予備、緩衝の意味があります。しかし、業界によって具体的な意味合いや使い方は異なります。今回は、IT・金融・製造・動画配信の4つの業界で、バッファがどのように使われるかをご紹介します。
IT業界では、データを一時的に保存しておくための保存領域という意味で使われることがあります。保存領域を確保しておくことで、データ量が処理能力を超えていても一旦保存し、後から処理することが可能です。
また、バッファに関連するIT用語として、「バッファオーバーフロー」という言葉があります。バッファオーバーフローとは、サーバーやパソコンの処理能力を超える大量の情報を送り、バッファの容量を超えてしまう(オーバーフロー)脆弱性や、その脆弱性を悪用したサイバー攻撃のことです。バッファオーバーフロー攻撃を受けると、システムの管理権限を乗っ取られたり、進行中のプログラムを強制的に停止されたりする恐れがあります。
金融業界では、資金にゆとりを持たせることを意味します。バッファを使った専門用語として、「資本保全バッファ」があります。資本保全バッファとは、金融機関の資金繰りの悪化や経済危機などの非常事態に備え、最低限必要とされる自己資本に上乗せして蓄えておくべき資本のことをいいます。
製造業界におけるバッファは在庫の予備・余裕や、製造工程での時間的余裕を意味します。また、在庫切れを防ぐために在庫に余裕を持たせることを「バッファ在庫」と呼ぶことがあります。
動画配信業界では、バッファを使った専門用語が以下の通り複数あります。
バッファリングを行うことで、データ通信に多少遅延が生じてもあらかじめ読み込んでおいた分を流し、映像や音楽が途切れることを防ぐことが可能です。また、リバッファリングは、点滅する円環状のドットがぐるぐると回転するかたちでユーザーに表示されることが一般的です。
ここまで、業界ごとのバッファの意味について解説してきました。次に具体的にどのような使い方をするのかご紹介します。バッファの正しい使い方を確認し、実際の業務でも使いこなしましょう。
余裕、予備の意味合いで使用する具体的な例は以下の通りです。
<例>
「バッファがない」は、余裕がなく、逼迫した状況を意味します。なお、バッファは、精神的な余裕を表したい場合には使用できないことも覚えておきましょう。
バッファを人間関係・利害関係での仲介役、サポーターといった、緩衝の意味合いで使うこともあります。
<例>
ここまでバッファの意味や実際の使い方について例を交えて解説してきましたが、そもそもなぜバッファを持つ必要があるのでしょうか?今回は、バッファのメリットを2つご紹介します。
トラブルが起きた際にその影響を最小限に抑えることができるのが、バッファの大きなメリットです。ビジネスの現場では、スケジュールに遅延が生じたり、思わぬミスが起きて在庫不足になってしまったり、追加の予算が必要になったりといったトラブルはよく起きます。
そこで、バッファを取っておくことで、遅延したスケジュールを巻き返せたり、在庫不足や予算不足を補ったりすることができます。トラブルをあらかじめ想定した対応がバッファであるともいえるでしょう。
長期的なプロジェクトにおいては、個人の各タスクにバッファを設けるのではなく、全体スケジュールの最後にまとめてバッファを設ける、CCPM(Critical Chain Project Management:クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント)という手法がよく用いられます。この手法で一元的にバッファを管理することで、バッファを無駄なく必要なときに充てられ、作業の効率化が期待できます。
またCCPMでは、プロジェクトのバッファを全体で管理するため、プロジェクトの資本やスケジュールを明確に把握することができます。その結果、各タスクにどれほどの時間やコストをかけられるのか、メンバーにも共有することが可能となり、モチベーション維持にもつながるでしょう。
ただし、バッファを何となく設定してしまうと、かえって無駄が発生してしまうこともあります。たとえば、必要以上に人員計画にバッファを取ってしまうと人件費がかさんでしまったり、逆にバッファが少な過ぎるとトラブルに対処する人員がいなかったりすることが挙げられます。適切なバッファを設定するためには、各工程の作業時間やメンバーのキャパシティ、予想されるトラブルなどをできるかぎり正確に把握することが重要なポイントです。
ここまで解説してきた通り、ビジネスシーンにおけるバッファとは、時間や予算、人員や在庫の余裕や予備、仲介役やサポーターといった意味合いで使われます。バッファは、不測の事態に対応したり、効率を高めたりするうえで重要です。今回ご紹介した業界ごとの意味やメリットを参考に、バッファの役割を理解し、業務に活かしてくださいね。適切なバッファを取ることでプロジェクトを成功に導きましょう!
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