2024/03/26
エスカレーションとは、上司へ対応を求めることを意味するビジネス用語です。この記事では、言葉の詳しい意味、ビジネスの現場でエスカレーションが必要なケースなどについて解説します。
エスカレーション(escalation)とは英語で「上昇」を意味する言葉で、ビジネスシーンでは上司へ判断を仰いだり、対応をまかせたりすることを指します。「この件は自分では対応が難しいので、上司へエスカレーションします。」といった使い方をするのが一般的です。ほかに「エスカレーション対応」、あるいは略語で「エスカレ」ということもあります。
エスカレーションの意味合いや使うシーンは業種によって変わります。3つの例を見てみましょう。
IT業界では主に、SE(システムエンジニア)やサーバー管理者が、システムのトラブル発生をクライアントへ報告するときに使います。
ホテルや百貨店といったサービス・小売業では、現場担当者での対応が難しいクレームや問い合わせを上司へ引き継ぐときに使います。
コールセンター(コンタクトセンター)では、オペレーター(担当者)での対応が難しい問い合わせ電話を上司に転送するときに使います。
このような違いはありますが、自分の知識や能力では対応が困難な場合や、上司が対応をしたほうがよい場合に使う言葉であると捉えるとよいでしょう。
すみません!プロジェクトでこのような問題が発生したのですが、どうしたらいいですか?!
これは、今すぐ部長にエスカレーションしたほうがいいな!
(エスカレーション…?エスカレーター?)
ビジネスシーンでは、上司に「報告・連絡・相談」することが多々あると思います。エスカレーションも、報連相とよく似ていますが、報連相が「上司への情報共有」を主な目的としているのに対して、エスカレーションは「業務の対応や責任を上司へ移す」という意味を含んでいるのが大きな違いです。進捗の報告やトラブルが発生していない相談と意味が異なるので、混合しないように気を付けましょう。
ビジネスの現場では、エスカレーションの正しい意味に加えて、エスカレーションが必要な状況を理解しておくことも重要です。エスカレーションを行うべきケースには、主に次の3つが挙げられます。
いわゆる「インシデント(問題・トラブルのこと)」が発生した、あるいは発生しそうな状況で緊急対応が求められる場合に、エスカレーションが必要です。インシデントの例には、「システム障害が発生して、放置していると重要な情報が漏洩する恐れがある」「クライアントが立腹しており、対応しないと契約を解消されかねない」などの状況が挙げられます。
このようなとき、担当者が緊急性を理解せずにエスカレーションを遅らせると、事態はますます悪化してしまう可能性が高いため注意が必要です。
問い合わせやトラブルの内容が難しく、解決するのに高い専門知識を求められる場合にも、エスカレーションを行う必要があります。対応を誤ると、クライアントやユーザーに迷惑をかけるだけでなく、組織全体の信用も損なってしまう恐れがあるためです。
担当者は、「自分でも解決できるだろう」といい加減な判断をしたり、「トラブルが起きたことを知られたくない」と考えたりして、エスカレーションを怠るのはやめましょう。
「金額を下げてほしい」「契約内容を変更してほしい」など、高い権限を持った人でないと判断・決定できない交渉をされた場合も、エスカレーションが必要です。権限を持たない人が勝手に返答すると、組織の大きな損害につながってしまうこともあり得ます。
上記のようなケースに遭遇したとき、大抵の場合、慌てたり迷ったりと混乱してしまいがちです。しかし、迅速にエスカレーションが行われれば、ビジネスを安全に遂行できるだけでなく、顧客に品質の高いサービスを提供することにもつながります。
いざというとき、エスカレーションをスムーズに行えるようにするためには、社内の環境作りが大切です。ここでは、従業員、管理者、それぞれの立場からエスカレーションに対して心がけたいことをご紹介しましょう。
エスカレーションは通常、前もって決められたルールに沿って行われるものです。エスカレーションを行う対象やフロー(流れ)について、従業員と管理者の両者で共有しておく必要があります。
以上のような点を具体的に決めておくと、判断がスピーディーかつ明確になるでしょう。また、エスカレーションの必要性が高い順に対象をレベル分けしたり、連絡のメール文をフォーマット化したりするのも効果的です。
従業員は、エスカレーションのルールについて普段から確認しておくことが基本です。そのうえで、判断に迷う問題が起きた場合は、必ず上司に相談して指示を仰ぐようにしましょう。自己判断で行動すると、組織全体に損失をもたらしてしまう恐れがあります。
また、口頭やメールでの伝え方にフォーマットがある場合は、それを守ることも大切です。必要な情報が正確に伝わらないと、エスカレーションの意味がなくなってしまいます。急いでいるからといって、上司にぞんざいな言葉遣いや言い方をしないということにも気をつけましょう。
エスカレーションは、正しく迅速に行わないと事態が悪化しかねません。そのため、管理者は従業員に対して、エスカレーションの意識付けを行う必要があります。クライアントファーストやユーザーファーストについて日頃から説明する、管理者のほうからエスカレーションを促すなど、多角的な働きかけを行いましょう。また、報告した従業員が責任を追及される・叱責されるなどのリスクがあるとエスカレーションが行われにくくなるので、「問題発生の責任を問わない」という規定も明確にすることが大切です。
エスカレーションが行われた後は、一連の対応内容についてチーム全員に共有するとよいでしょう。次に同じ問題が発生した場合、従業員がスムーズに対応しやすくなります。
このように、エスカレーションはビジネスシーンにおいて重要なスキルの1つです。いざというときに迅速かつ正しい行動を取れるよう、普段からもコミュニケーションを意識して業務を進めましょう!
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