2024/05/08
クリティカルパスとは、プロジェクトを最短で完遂することを目指すうえで、最も重要かつ所要時間がかかる工程経路のことです。クリティカルパスの進行に遅れが生じることは、プロジェクト全体の遅延につながるため、正確に把握することが必要になります。今回は、クリティカルパスの特徴や求め方、ガントチャートとの違いをご紹介します。
クリティカルパスは「重大な経路」と訳され、プロジェクトの必要工程が結ばれた、最も期間の長い作業経路のことを指します。クリティカルパス上のタスクが遅延するということは、プロジェクト全体が遅延することを意味するため、クリティカルパスの把握はプロジェクトマネジメントにおいて非常に重要です。クリティカルパスを用いてプロジェクトマネジメントすることを、クリティカルパス法(CPM)と呼びます。
このプロジェクトのクリティカルパスを見せてもらえる?
クリティカル…バス?
バスじゃなくて、「パス」だよ!クリティカルパスは、プロジェクトの最も重要な工程経路のこと。プロジェクトのタスクを結んで、作業期間が一番長い経路がクリティカルパスで、クリティカルパス上のタスクが遅れたらプロジェクト全体が遅れるから、把握しておかないといけないんだよ。
クリティカルパス上のタスクの遅延は、プロジェクト全体の遅延に直結します。そのため、クリティカルパスを正確に把握し、プロジェクトメンバー同士が共通認識を持つことは、プロジェクトを予定通り進めるために効果的です。特にプロジェクト規模が大きくなると、タスクの数が増え依存関係も複雑化するので、より重要性が高まります。
プロジェクトの目標を達成させるうえで、タスクや過程を可視化することは重要な作業の1つです。そのため、プロジェクトを管理するプロジェクトマネージャー(PM)は、クリティカルパスを早期に把握し、スケジュールの遅れを出さないように対策したり、遅れが生じた際に早急な対応をとったりすることが求められます。
クリティカルパスを求める方法について一例をご紹介します。以下の6つを順番に行っていきましょう。
最初に行うのは、プロジェクトにおける全てのタスクをリストアップすることです。大小に関わらず、プロジェクトの目標を達成するために必要なタスクを全て洗い出します。
次に、WBS(Work Breakdown Structure)をもとに、タスク同士の依存関係を把握します。WBSとは作業分解構成図のことで、プロジェクト全体を作業(Work)に分解(Breakdown)し、構造(Structure)として表した図式です。WBSをもとに、前段階が完了していないと実施できないタスクか、ほかのタスクと並行して行えるタスクかを確認します。
タスクの依存関係を把握できたら、「Program Evaluation and Review Technique」の略であるPERT図(ネットワーク図)を作成します。PERT図とは、丸で囲んだ重要タスク同士を、矢印で結んだ図のことです。作成に際しては、まずタスクを時系列に並べ、順序を示し、タスク同士の依存関係を矢印で示します。なお、IT業界では、PERT図を「アローダイアグラム」と呼ぶこともあります。
タスクを矢印で結んだら、各タスクの所要時間を記載します。所用時間を記載することで、複数の経路があったときに、どちらの経路のほうが時間がかかるかが分かります。より時間を要する経路のほうが、遅延できない重要な経路と判断できます。
全てのタスクの所要時間を把握できれば、クリティカルパスを特定することができます。最初に取りかかるタスクから最後のタスクまで、最も所要時間がかかる経路がクリティカルパスとなります。
クリティカルパスを特定したら、所要時間を短縮できる箇所がないかを確認し、調整するようにしましょう。クリティカルパスを短縮すれば、プロジェクト全体スケジュールの短縮につながります。スケジュールの短縮には、「クラッシング」と「ファストトラッキング」という2つの手法が挙げられます。
クラッシングとは、リソースを追加することを指し、作業人数を増やしたり、既存人員に残業してもらったりすることで、スケジュールの短縮を目指します。一方、ファストトラッキングはタスクを並列で実行させることで、スケジュールの短縮を目指す手法です。本来は、1つのタスクが終わってから次の工程に進みますが、複数の工程を同時並行することで、遅延を防いだり遅延分を取り戻したりします。これらの検討をして、再度クリティカルパスを確定させましょう。
上記で述べた通り、クリティカルパスを特定することで、プロジェクトに遅れが生じた際に早急な対応ができます。そのほかのメリットを、今回は2つご紹介します。
クリティカルパスを特定するということは、プロジェクトにおける全てのタスクを洗い出し、依存関係を把握するということであるため、タスクの優先順位を明確にすることができます。複雑かつたくさんの工程で成り立つプロジェクトにおいて、タスクに優先順位を付けることは非常に重要です。
また、優先順位をプロジェクトメンバー全員で認識し、自分のタスクの立ち位置や役割を把握することで、スケジュール内で作業を終えることへの意識が高まるでしょう。クリティカルパスを共有することは、プロジェクトの一体感を生むという効果も期待できます。
クリティカルパスをきちんと把握することで、スケジュール管理を正確に、効率よく行うことができます。特に、全体の進捗管理をするプロジェクトマネージャーは、クリティカルパスの進捗を重点的に確認することで、納期の遅延を防ぐことができます。
プロジェクトの進捗を管理する際には、一般的にガントチャートを用います。ガントチャートとは、生産管理や工程管理に用いられる横棒グラフの表のことです。縦軸にタスクや担当者を記入し、横軸に開始予定日と完了予定日、進捗状況といった時間軸を記載する形式が一般的です。
ガントチャートとクリティカルパスとの違いは、工程経路が図式になっておらず、工程間の依存関係を把握することができないという点です。ほか、クリティカルパスにない特徴としては、ガントチャートには各タスクの進捗状況が表記されていることが挙げられます。それぞれに違いがあるので、組み合わせて使うことで、よりタスクを管理しやすくなります。
ここまで、クリティカルパスの重要性やクリティカルパスの求め方をご紹介しましたが、実際にクリティカルパスを確定させることは一筋縄ではいきません。難易度はプロジェクトの規模や複雑さに比例して高まります。クリティカルパスを確定させるためには、プロジェクトの全体像を把握し、ゴールへの道筋とその流れを詳細に把握したうえで、作業にかかる時間を正確に見積もる技術が必要です。
クリティカルパスを特定する経験が浅いうちは、上司や先輩に細かく報連相をし、フィードバックをもらいながら進めるとよいでしょう。また、クリティカルパスを特定する立場でなくても、作成されたPERT図を読み解いたり、どうしてこの経路がクリティカルパスとなるのかを考えたりして、クリティカルパスに慣れることから始めるのもおすすめです。クリティカルパスは、プロジェクトマネジメントにおいて非常に重要なので、マスターできるようにしましょう!
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