2024/05/21

コモディティ化とは?その原因や影響、対策の方法について解説

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#ビジネス用語

「コモディティ化」とは、英語で「商品・原材料」といった意味を持つ「コモディティ(commodity)」を由来とするビジネス用語で、ある商品やサービスが市場全体として同質化し、差がなくなった状態を指します。この記事では、コモディティ化に陥る原因やその影響、対策をご紹介します。

目次

コモディティ化とは?

コモディティ化(Commoditization)とは、ある商品やサービスが、ライバル企業が提供する類似の商品と相対的に差がなくなり、価格以外で差別化することが難しくなっている状態を指すビジネス用語です。

市場に出したときには付加価値が高い製品やサービスと認識されていたものが、他社の参入によって市場が成熟し、ユーザーにとって機能や品質などに差を感じられない状態が「コモディティ化」であるともいえます。日本語では、「一般化・大衆化」とも訳され、対義語は「差別化」となります。

由来

そもそもコモディティ(commodity)とは、英語で鉱物資源や農作物など、原材料を意味する単語です。鉱物資源や農作物を材料として製品や料理を作るように、原材料は加工することでオリジナリティや付加価値が生まれ、それが差別化のポイントになります。逆に、加工する前の原材料は「差別化できる要素が少ないもの」といった捉え方をすることも可能でしょう。こうした意味合いから転じて、差別化が難しくなっている製品やサービスの状態を「コモディティ化」と表しているといえます。

コモディティ化について勉強する男女

コモディティ化の例としては、以下のような商品・サービスが挙げられます。

  • スマートフォン
  • コンビニコーヒー
  • デジタル家電(情報家電)
  • 生活日用品

なかでも、デジタル家電である薄型液晶テレビは、コモディティ化のよい例といえます。総務省統計局によれば、特別区部(東京23区)における2005年の薄型テレビの平均価格は約32万円でしたが、2009年には約10万円、2017年には5万円を下回るなど、全体的に価格が下落しています。

短い期間でこのような価格下落が起こった理由としては、以下の背景が考えられます

  • 液晶パネルの生産技術の普及
  • 顧客ニーズの頭打ち

テレビ用途としての液晶パネルを日本企業が1980年代に実用化してから約20年間は、技術的な優位性が一部の企業に集中していたため、性能・技術面で製品の差別化ができている状態でした。しかし、2000年頃に登場した生産性の高い液晶パネル製造装置が広く用いられるようになったことを転機として、製造技術の普及が進み、性能・技術面での差別化が困難となりました。

加えて、市場全体における性能水準の向上によって、消費者の購買志向も「性能」から「価格」へと重視するポイントが変化していったことも重なり、薄型液晶テレビのコモディティ化が進んだといえるでしょう。

コモディティ化が起こると、付加価値で差別化することができないため、安さを売りにしようと価格競争が起こりやすい傾向があります。このようなコモディティ化から脱却するために、企業にはブランド戦略やオリジナリティの確立といった取り組みが求められ、また課題でもあるのです。

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コモディティ化の危険性を確認する男女

コモディティ化は危険?

 

競合他社の商品のレベルが上がってきているから、コモディティ化しないような戦略が必要だね。

 

(コモ…コモドドラゴン?)

 

「コモディティ化」ね。コモディティ化とは、商品やサービスの差別化が難しくなった状態を指すビジネス用語だよ。

コモディティ化が分からずコモドドラゴンを思い浮かべるビジネスパーソン
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コモディティ化の要因

コモディティ化の要因としては、主に以下の4つが考えられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

  • 商品・サービスの過剰供給
  • 技術の高度化
  • 商品のモジュール化
  • 海外の低価格商品の輸入

商品・サービスの過剰供給

ある新商品や新サービスが発売され、それらの売れ行きがよいと、他社は類似の商品・サービスを売り出せば利益が得られると期待します。従って、他社も類似の機能やコンセプトを持った商品を売り出すこととなり、結果として差別化ポイントが一般化してしまいます

技術の高度化

分野や業界にもよりますが、日を追うごとに技術は高度化し、どの企業であってもある程度の技術水準を有するようになりました。これにより、製品やサービスを品質や性能で差別化することが困難になったのです。

商品のモジュール化

モジュール化とは、類似の商品群においても相互に利用可能な、標準化された部品を用いた製品開発を指します。例としては、コンピューターやオーディオ・映像機器などが挙げられます。部品やサービスを共通化することで、開発効率がよく、互換性があるといったメリットがある一方で、同様の部品を使用する製品と同質化することから、コモディティ化が起こりやすくなる特徴があります。

低価格商品の輸入

製品やサービスに差別化できる点が少ない場合、市場ではより低価格で販売できる企業の製品が優位に立つことになります。日本と比べ製造にかかる費用を抑えられる諸外国の製品のほうが安い場合もあり、海外から低価格商品の輸入が結果として価格競争の激化を引き起こし、コモディティ化の要因となる場合があります。

コモディティ化の問題点を整理する男女

コモディティ化の影響

コモディティ化が進むと価格競争に陥り、薄利多売のモデルにならざるをえなくなるため、企業としては利益率が低下しやすくなります。加えて、消費者が商品を選ぶ判断基準が価格になってしまうため、自社製品の価格以外の優位性やオリジナリティが伝わりにくくなるといった側面もあります。特に、営業戦略やマーケティング戦略に影響が出るでしょう。一方で、消費者側としては価格競争の恩恵を受け、商品をリーズナブルに購入しやすくなるメリットもあります。

コモディティ化から抜け出す方法

価格競争につながるコモディティ化は、企業にとって喜ばしいことではありません。では、どうすればコモディティ化から抜け出すことができるのでしょうか?以下ではその一例をご紹介します。

機能や性能以外の付加価値で差別化を図る

機能や性能はあまり変わらないなかで消費者から選んでもらうには、付加価値で差別化を図る必要があります。たとえば、商品開発での試行錯誤やブランドの掲げる理念など、商品・サービスに関するストーリーや思いを消費者の心に訴えかけるのも1つの手法です。「この企業だから買いたい」と思わせるような情報発信やコミュニケーション戦略を取ることが、ファンの獲得につながるでしょう。

また、著名人におすすめしてもらったり、専門家に監修をお願いしたりといったことも付加価値の1つです。このように、商品・サービスの内容に合わせて適切な付加価値を持たせられるような差別化戦略を設計することが、コモディティ化を脱するうえで重要といえます。

コモディティ化から抜け出す方法を確認する男性

他社との違いを徹底分析する

コモディティ化から脱するには、付加価値を見いだし続けることが大切です。一見、同じような商品・サービスに見えても、実は差別化を図れる場合もあります。他社との違いやその違いの源泉を分析し続け、相対的に自社の商品・サービスの強みを見いだすことで付加価値を生むことができます。

このように、自社の商品・サービスの付加価値を理解し、それらがどのようなターゲットにとって魅力的であるのかを考え続けることで、営業活動やマーケティング活動の最適化につながるでしょう。

ユーザーインサイトを徹底分析する

既存の商品・サービスでも、ユーザーが無意識でも課題に感じていることや困っていることがないか徹底的に分析することも脱コモディティ化につながるでしょう。このように、ユーザーの潜在的意識を分析し、理解することをユーザーインサイトと呼び、それらを商品やサービスに反映することができれば、コモディティ化を脱することができる可能性があります。

コモディティ化を理解して対策しよう

ここまで、コモディティ化とは何か、その原因や対策について解説してきました。コモディティ化は、技術の進歩や市場の成熟によってどのような業界でも起こりうるといえます。コモディティ化が起きる原因や背景を理解することで、自社の製品がコモディティ化を起さないためのヒントになるかもしれません。ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。

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