2024/05/28
OJTとは、実際の業務のなかで実践的に研修を行う育成手法のことをいいます。この記事では、OJTの意味や目的、メリット、注意点、そして効果的に研修を進めるためのポイントについて解説します。
OJTとは「On the Job Training」の略称で、経験豊富な上司や先輩のもと、実際の業務のなかで実践的に行う育成手法のことをいいます。たとえば新人の営業職の場合、営業に同行したり、ロープレを行ったりすることで、先輩社員から営業時に必要なスキルを学んでいきます。このように、OJTはより実務に即して必要な知識やスキルを学べることが特徴です。なお、育成される側のことをトレーニー、育成する側のことをトレーナーと呼びます。
OJTの由来は、1917年にチャールズ・R・アレンが提唱した「4段階職業指導法」であるといわれています。4段階職業指導法とは、Show(手本を見せる)、Tell(説明する)、Do(やってみる)、Check(評価する)の4つの段階で指導する方法のことです。現在では多くの日本企業がOJTを導入しており、厚生労働省が実施した令和4年度『能力開発基本調査』によると、正社員または正社員以外に対して計画的なOJTを実施したと回答した事業所は、63.0%にまで上ります。※1
今回は、OJTを受ける方に向けて、OJTの基本的なステップやメリットを解説したのち、トレーニー側の心得をご紹介します。OJT期間を有意義に過ごすことで、スキルアップを目指しましょう。
※1 出典:「令和4年度『能力開発基本調査」(厚生労働省)
来週から始まるOJTの担当は僕だから、分からないことは遠慮なく聞いてね。
(おー?OJ…T?業界の専門用語かな?)
OJTっていうのは、On the Job Trainingの略で、実際に業務をしながら行う研修のことだよ。
OJTという言葉は知らなくても、実際に業務をしながら研修を受けたことがある方はいるのではないでしょうか?今回は、OJTのステップだけでなく、OJTを受けるにあたっての心得も紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね!
「OFF-JT」とは、「Off the Job Training」の略称で、通常業務から離れ、特別な期間や場所を設けて研修を行うことをいいます。たとえば、外部の講師を招いたセミナーを受講したり、通信教育やeラーニングを受けたりすることはOFF-JTになります。
OFF-JTは、実際の業務のなかで上司や先輩から学ぶOJTとは異なり、研修担当者や人事担当者など、上司以外の人によって行われることが多く、座学による学習形態が一般的です。また、OJTは主にマンツーマンで指導されるのに対し、OFF-JTは集団で行われることが多いのも違いの1つです。
このような違いから、OJTは形式化しにくく、経験を通して得られるようなスキルの習得に適している一方で、OFF-JTは体系化された知識や、経験を積むことに重きを置かない学習内容に適しているといわれています。
OJTはどのようなステップで行われていくのでしょうか?ここでは、先ほどご紹介した4段階職業指導法に基づいた4つのステップについて、トレーニー視点でご紹介します。
まず、トレーナーが実際にその業務を行っている様子を見せてもらいます。ここでは、業務の全体像や具体的なイメージをつかみましょう。経験豊富なトレーナーが実際にどのように業務を行っているか間近で見られるこのステップは、OJTのよさの1つです。トレーナーの許可が取れれば、動画に残して見直せるようにするのもよいでしょう。
実際に業務の流れやイメージをつかんだ後は、業務の背景や目的、注意点などの具体的な説明がされます。この際に、理解が曖昧な点は積極的に質問をすることが重要です。OJTではトレーナーと密にコミュニケーションが取れるからこそ、小さな疑問も解消するようにしましょう。
次に、ここまでの2つのステップで学んだ業務内容を実践します。実際に行うことで、新たな疑問点が生まれたり、うまくできないことが明確になったりすることもあります。分からないことや迷ったことはメモを取り、トレーナーに質問をすると理解が深まるのでおすすめです。このように、実際に業務をやりながらトレーナーの助けも得られるのがOJTの魅力なので、集中して取り組みましょう。
実際に業務を行ってみて、トレーナーからよかった点や改善点などのフィードバックを受けます。フィードバックは次に活かせるように、できるだけ具体的にもらうようにしましょう。ここでも、理解しきれない点は質問をして、トレーナーとの密なコミュニケーションの場を活かすことが大切です。また、この評価によって、トレーナーは今後の育成計画を見直してくれることもあります。不安なことがあれば遠慮せず伝えるとよいでしょう。
OJTを取り入れることで、トレーニー側、トレーナー側、そして企業側にはそれぞれどのようなメリットがあるのでしょうか?ここまで解説してきたOJTの特徴を踏まえて、それぞれの視点から解説していきます。
OJTを受ける側にとっての最大のメリットは、実践的なスキルを効率よく身に付けられる点が挙げられます。OJTの場合、社内の身近な存在である上司や先輩から指導を受けられるため、分からないことをすぐに聞けたり、フィードバックを詳細にもらいやすくなったりします。また、OJTはマンツーマンで行われることが一般的であるため、個人の成長速度に合った研修を受けることができ、より効率的に学べるでしょう。また、OJTを通して社内間でのコミュニケーションが生まれるきっかけとなり、職場になじみやすくなるというメリットもあります。
OJTには、トレーニーだけでなく、トレーナーにとってもメリットがあります。その1つとして、指導することでトレーナー側のスキルアップにつながることが挙げられるでしょう。普段行っている業務を整理して言語化したり、トレーニーからの質問に答えたりすることで、自分の仕事への理解がさらに深まるからです。また、OJTではトレーニーと密なコミュニケーションを取るため、OJTを通して信頼関係を築くことも期待できます。
企業にとってのメリットは、主に3つ挙げられます。1つ目は、OJTは実際の業務を通して社内の人が研修を行うことから、研修を行う人材を外部に頼らなくてよいため、人材育成にかかるコストを抑えられます。2つ目に、OJTを通してコミュニケーションが活性化されることで、報連相や情報共有の土台ができ、OJT後の業務効率の向上が期待できます。また、それにより、新入社員の離職率の低下にもつながるでしょう。3つ目は、OJTを通して、実践的な経験を研修期間に積んでもらえることです。そうすることで、研修終了後に即戦力となる人材を育てることができます。
これまで解説してきたように、OJTにおいてトレーニーは、指導者との距離が近く、実践的に業務について学べる環境にあります。トレーナーが専属で教えてくれる環境を最大限活用し、分からないことはすぐに聞いたり、フィードバックを真摯に受け止め、改善点はすぐに実行に移すことが大切です。
また、OJTの計画はトレーナーが用意してくれるのが一般的ですが、目的・目標を持つことや報連相(報告・連絡・相談)を丁寧に行うことを意識したうえで、主体的に取り組むことが大切です。主体的に取り組むことで、トレーナーもより一層、熱心に教育を行ってくれるでしょう。また、OJT中はPDCAサイクルを回すことを意識するとより効率的に成長できます。場当たり的に行うのではなく、目的意識を持って取り組むとよいでしょう。
さらに、通常業務に加え、忙しいなかでも研修に時間を割いてくれているトレーナーに対して感謝の気持ちを抱き、きちんと伝えることを忘れないようにしましょう。このことにより、今後の良好な関係構築につながります。
ここまで、OJTの特徴や具体的なステップ、メリットについて解説してきました。OJTではトレーナーと近い距離で実践的な研修を行うことができるからこそ、積極的に質問をしたり、復習を行ったりするなど真摯に取り組むことで、大きな成長が期待できます。このような機会を十分に活用して、最高のスタートダッシュを切りましょう!
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