2024/02/28
生涯学習とは、生涯にわたって行うあらゆる学習活動のことです。学校教育や家庭教育、社会教育などが例として挙げられます。この記事では、生涯学習の必要性が高まる理由や生涯学習の種類、学びの場についてご紹介します。
生涯学習とは、生涯にわたって行うあらゆる学習活動のことです。生涯学習の例としては、家庭教育、学校教育、社会教育、企業内教育、スポーツ活動、レクリエーション活動、文化活動、ボランティア活動、趣味など、さまざまです。
生涯学習では、下記の4つを大切にしています。
学習というと、学校教育のイメージが強いかもしれませんが、生涯学習は一生涯にわたってあらゆる機会や、あらゆる場所において自由に学習していくという考え方です。今回はそんな生涯学習について、重要性が高まっている理由や、具体的な生涯学習の種類、学びの場についてご紹介します。
「学び」「学習」という意味合いでは「リスキリング」や「リカレント教育」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?リスキリングは、生涯学習とは異なる概念ですが、リカレント教育は生涯学習の手法の1つとされています。
リスキリングは、第4次産業革命によってAIやロボットに人間の仕事が代替されていった結果、人間の雇用が失われる社会的課題(技術的失業)への解決策として注目度が高まりました。一方、リカレント教育は、人生100年時代のなかで豊かに生きるために注目されており、生涯学習もリカレント教育と同様に、学びを通して豊かな人生を送れるよう、厚生労働省を中心に推進されている教育施策です。
「人生100年時代」の到来や、「Society 5.0(超スマート社会)」に向けて社会が大きく変わっていくなかで、生涯学習の重要性はより一層高まっています。政府も、文部科学省を中心に、誰もが自由に学習機会を選択し、学ぶことができるよう環境整備を推進しています。生涯学習がなぜ重要なのか、具体的に見ていきましょう。
生涯学習の重要性が高まる背景の1つが、人生100年時代の到来です。人生100年時代では、従来の「教育(0~20歳前後)」「仕事(20~60歳前後)」「引退(60~80歳前後)」という単純な3つのステージから、「マルチステージ」というモデルに転換する必要があります。この「マルチステージ」の考え方は、『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著、池村千秋訳/東洋経済新報社、2016)で提唱され、ベストセラーにもなりました。
人生100年時代では、60~65歳で引退した場合、現役中に残りの約40年分の生活ができる貯蓄をする必要がありますが、なかなか難しいでしょう。つまり、人生100年時代では生活のために働く時間が長くなり、働き方も人生のステージによって変えていかなければならないのです。
長い人生をより充実させるために、常に学習して能力や知識、考え方をアップデートしたり、自分の可能性を最大限に引き出したりすることが重要であるからこそ、生涯学習の必要性が高まっているのです。
長い人生を豊かに生きるためには、働く時間以外をどう過ごすかも大切です。前述したように、生涯学習は仕事に活かすための学習だけでなく、芸術やスポーツ、料理など、趣味に関する理解や知識を深めることも含みます。自分の好きなことや興味のあることに取り組むことは、日々の楽しみや喜び、生きがいにつながります。
また、趣味を深めることで、職場や家庭以外のコミュニティとのかかわりが生まれることもあります。好きなことや趣味に関することで出会った人は、共通の話題があるため良好な関係を築きやすく、一生涯の仲になることもあるでしょう。生涯学習は、豊かな人間関係を多方面で築くことにもつながります。
このように、人生100年時代をより豊かにに生きるための1つの方法として、生涯学習の重要性が高まっています。
IoTやAI、ビッグデータ解析などの技術革新により、AIやロボットが人間の仕事を代替していくと同時に、今はない仕事が新たに生まれることが予想されています。人生100年時代、働く時間が長くなっているからこそ、より豊かに働くために学習し、新しいスキルや知識を獲得することが重要です。
また、日本が目指すべき未来社会の姿として、Society 5.0が提唱されています。Society 5.0とは、AIやビッグデータなどのサイバー空間(仮想空間)と私たちが生活するフィジカル空間(現実空間)を融合させることで、社会問題の解決と経済発展を実現させる社会の在り方のことです。2016年に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」において内閣府が提唱しました。
Society 5.0が実現すると、ビッグデータをAIで解析することにより、交通、ものづくり、農業、食品、防災など、さまざまな分野で大きな変化が起きるといわれています。
Society 5.0の実現によってどのように社会に変化がもたらされるのでしょうか?予想される分野別の変化は以下の通りです。
新しい技術により、暮らしの在り方が大きく変わっていくということは、それに対応し、うまく活用できるスキルや知識が必要であることを意味します。だからこそ、大きく変化する社会のなかで豊かな暮らしを実現させるために、何歳になっても学び続ける生涯学習の重要性が高まっているのです。
生涯学習にはどのようなものがあるのでしょうか?主な4つを紹介します。
家族とのふれあい・自然とのふれあい・地域とのかかわりなどです。生活に必要な基本的知識や生活習慣の基礎を身に付けます。
国や自治体などが提供する学習プログラムや、文化・スポーツ活動、趣味、ボランティア活動などです。広く社会と関わるなかで生きがいのある人生を歩むための学びを得られるでしょう。
小学校・中学校・高等学校・大学など、教育機関で基礎学力を身に付けます。学習の重要性が高まっていることからリカレント教育が注目され、社会人になってから大学に通い、学び直す人も増えています。
会社のなかで制度を設け、生涯学習を推進する企業もあります。業務内容に関する研修や、趣味で人間関係を作る社内サークル、学び直しがしやすいよう休職や時短勤務ができる制度など、在り方はさまざまです。
ここでは、生涯学習の主な種類として、家庭、社会、学校、企業の4つを挙げましたが、生涯学習は「いつでも」「どこでも」「だれでも」「なんでも」を重要視しており、学習の在り方は自由です。紹介した4つ以外にもさまざまな内容があるので、自分に合ったものを探してみてくださいね。
生涯学習はどこで行うことができるのでしょうか?生涯学習をする場所に決まりはありませんが、ここでは生涯学習の場について一例をご紹介します。
生涯学習は、行政が設ける場やプログラムを通して行うだけでなく、民間のサービスを利用することも選択肢の1つです。行政が設ける場と、民間が設ける場、それぞれの特長を見ていきましょう。
行政が設ける場は、無料またはリーズナブルな価格で利用することができるのが利点の1つです。
図書館で本を読む、公民館で子どもと遊ぶといったことが無料で行えるほかにも、公営のスポーツセンターでは格安でジムを利用できます。民間のジムは価格相場が月額5,000~10,000円程度なのに比べて、公営のジムは1回200~600円ですから、使い方によってはかなりお得だといえるでしょう。
また、公共団体のなかには町おこしの一環として地域文化の体験会を文化センターや生涯学習センターなどで開催している団体もあり、さまざまな文化に触れるきっかけになります。
民間のサービスや施設は、種類の多さが特長です。行政では提供していない体験や情報でも、民間のサービスや施設では提供しているも場合は多くあります。
また、専門性も魅力の1つです。行政の取り組みには「個人の要望」と「社会の要請」のバランスの確保が求められるため、個人の課題のみに偏った学習課題の設定は難しくなります。自分の興味にぴったり合ったことを学びたいのであれば、民間が設けるセミナーやオンライン講座、文章型コンテンツなどから自分に合ったものを見つけるのがよいでしょう。
学びたいけれど、何から始めればよいかわからないという方には、『PERSOL MIRAIZ』の学習コースがおすすめです。キャリアの選択肢を広げるオリジナルコースを無料でご提供しています。※ご利用には無料登録が必要です。
また、繰り返しになりますが、生涯学習は「ここで学ばないといけない」といった決まりはなく、「どこでも」できます。今の環境でも捉え方を変えれば学習の場にすることができるでしょう。無理なく、楽しく、人生を充実させられるよう自分に合った学習の場を探してみてくださいね。
生涯学習は、多種多様で幅広い分、何を学ぶか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?始め方に迷った場合は、まずは自分の好きなことや興味のあることを思い浮かべてみましょう。生涯学習の在り方は自由で、自ら主体的に学びを選び、人生を豊かにしていくものです。新しい趣味を始めたり、気になっていた本を読んだり、できることから始めてみてくださいね。
『PERSOL MIRAIZ』は、はたらくすべての人が利用できる無料のリスキリングサービスです。本来は高額なスキルの学習やキャリアカウンセリングを、誰でも気軽に始められます。
さん
一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事 チーフ・リスキリング・オフィサー / SkyHive Technologies 日本代表
早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業。2011年、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人設立に尽力。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。日本全国にリスキリングの成果をもたらすべく、政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。著書『自分のスキルをアップデートし続ける「リスキリング」』(日本能率協会マネジメントセンター)は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」イノベーター部門賞を受賞。2023年9月に続編『新しいスキルで自分の未来を創る「リスキリング実践編」』を上梓。
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