2024/04/25

リスキリングでデジタルマーケティングを学ぶ必要性とは?学習方法や助成金を解説

はたらくを考えるヒント
#リスキリング#キャリア形成#マーケティング

近年、DXの推進や第4次産業革命による社会の変化を背景に、リスキリングが注目されています。なかでも、デジタルマーケティングの知識を身に付けることの需要は高く、多くの企業が人材育成や採用を強化しています。この記事では、デジタルマーケティングを学ぶ必要性や方法、助成金まで分かりやすく解説します。


リスキリングとマーケティング

リスキリングに関心を持った人のなかには、「リスキリングで何を学べばよいのだろうか」「これから必要になるスキルは何だろう」と迷っている方もいるのではないでしょうか?最近、リスキリングで身に付けるスキルとして注目されているテーマの1つが「マーケティング」です。なかでも、デジタルマーケティングという領域は、DXの推進によって需要が高まっているといえます。

今回は、リスキリングでマーケティング(デジタルマーケティング)を学ぶ必要性や、学び方、助成金の制度について分かりやすく解説します。まずは、リスキリングとマーケティングそれぞれの言葉の意味を確認していきましょう。

リスキリングでマーケティングを学ぶ人

リスキリングとは

リスキリングとは、新しい業務や職業に就くために、今の仕事とは異なる領域や職種のスキルを身に付けることです。『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』(後藤 宗明著、/日本能率協会マネジメントセンター 、2022/9/30)では、「リスキリングとは、新しいことを学び、新しいスキルを身に付け実践し、そして新しい業務や職業に就くこと」と定義されています。

リスキリングと似た用語に「スキルアップ」がありますが、スキルマップとは、既に持っている技能や能力を高めることを指します。リスキリングとスキルアップの違いは、今は持っていないスキルを新たに身に付けるか、既に持っているスキルをさらに向上させるかといったところにあるでしょう。

リスキリングとスキルアップの違い

リスキリングが注目される背景は主に、第4次産業革命(テクノロジーの発展)による社会の変化と、DXの推進です。第4次産業革命によるテクノロジーの発展では、特にIoTやAIを中心に技術が革新し、人間が行っていた労働がAIやロボットに代替され始めていたり、これから新しい職種が生まれると予測されたりしています。つまり、新たなテクノロジーに対応できるスキルの習得と、成長産業への移行が必要になってきています。

特に欧米では、技術的失業(テクノロジーの導入によりオートメーション化が加速し、人間の雇用が失われる社会的課題)を防ぐための解決策としてリスキリングが浸透してきました。このように、テクノロジーの発展に対応していくために、リスキリングが世界的に注目されているのです。

また、DX推進が加速するなかで、ITやデジタル技術に対応できる人材の不足が課題となっています。そのため、DXを担える人材を採用することに加え、自社の従業員をリスキリングでDX人材に育てていこうとする企業もあります。

マーケティングとは

次に、マーケティングについて解説します。前提として、マーケティングにはさまざまな定義があることを押さえておきましょう。今回は、マーケティングの定義を複数ご紹介します。

ピーター・F・ドラッカー(アメリカの経営学者)
「マーケティングとは、販売を不要にするもの」

佐藤義典(ストラテジー&タクティクス株式会社代表取締役社長)
「マーケティングの本質とは、顧客にとっての価値を売り、その対価として顧客からお金をいただくことである。」※1

フィリップ・コトラー(アメリカの経営学者)、ゲイリー・アームストロング(ノースカロライナ大学特別名誉教授)、恩藏 直人(マーケティング研究者)
「マーケティングとは、顧客と良好かつ収益性の高い関係を築くための手法である。そして、マーケティングの狙いは、顧客が求めている価値を創造し、その見返りとして顧客から売り上げなどの価値を受け取ることにある。」※2

日本マーケティング協会
「(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。 」※3

このように、マーケティングの定義はさまざまですが、「マーケティングとは顧客が求めている価値(商品やサービス)が売れる仕組みを作ること」とするのが分かりやすいでしょう。

※1出典:「ドリルを売るには穴を売れ」(佐藤義典/株式会社青春出版社、2006)

※2出典:「マーケティング原理」(フィリップ・コトラー、ゲイリー・アームストロングト、恩藏 直人 著/丸善出版株式会社、2014)

※3出典:「日本マーケティング協会の概要」(日本マーケティング協会)

リスキリングでマーケティングを学ぶ女性

リスキリングでデジタルマーケティングが人気な理由

ここからは、リスキリングでデジタルマーケティングが人気な理由を詳しく解説していきます。

 デジタルマーケティングとは、ITやAIなどあらゆるデジタル技術を活用したマーケティング手法全般を指します。デジタルマーケティングと似た言葉に、「Webマーケティング」がありますが、Webマーケティングはその名の通り、Webを中心に行われるマーケティング手法のことです。Webマーケティングの具体的な施策は、Web広告やSEO、メールなどさまざまです。つまり、Webマーケティングとは、デジタルマーケティングの一種であるといえます。

デジタルマーケティングとWebマーケティングの領域イメージ

リスキリングにおいて、デジタルマーケティングが注目されている主な理由は以下の2つです。

  • デジタルマーケティング人材の需要が高まっている
  • 既存スキルとの相乗効果が期待できる


それぞれの理由について、詳しく解説します。

デジタルマーケティング人材の需要が高まっている

急速なデジタル化に伴い、デジタルマーケティング人材の需要が拡大しています。近年では、実店舗のみならず、インターネット上で商品を購入することが定着し、ECサイトやWebサービス、SNSを展開する企業が増加していることが背景として挙げられます。

そのため、インターネットやSNSといったWeb上での消費者の購買行動を分析したり、大量のデータから戦略や施策を設計したりと、デジタルマーケティングの知識がある人材が必要なのです。

デジタルマーケティングを行う女性

既存スキル・知識との相乗効果が期待できる

マーケティングスキルは、既存のスキルとの相乗効果が期待しやすいスキルです。マーケティングの本質が「顧客に価値を提供すること」であるならば、マーケティングはマーケターに限らず、あらゆるビジネスパーソンにとって必要なスキルだといえるでしょう。

たとえば営業職の場合、マーケティングのフレームワークを用いることで、マーケティングの思考に基づいた戦略設計を立てることができます。また、SFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)を学ぶことで、データに基づいて営業戦略を立て、営業活動を効率化できる可能性があります。

エンジニアであれば、プロダクト開発の際にマーケティングにおける「ターゲット」を理解していれば、よりユーザー視点に立った開発を進めることができるでしょう。デザイナーも同様に、マーケティング上でのデザインの役割を意識しながら、よりターゲットの視点に沿ったデザインができるといえます。

デジタルマーケティングに必要なスキル

デジタルマーケティングの実践力を身に付けるには、以下のようなさまざまな知識やスキルが必要です。

  • データ活用・分析力
  • 論理的思考力
  • Webに関する基礎知識
  • 市場や業界に対する知識
  • 各種マーケティング施策やツールに関する知識 など


デジタルマーケターとして活躍するためには、あらゆるデータを分析し活用する力が必要です。さらに、分析結果から課題を明確化し、改善していくためには論理的思考力も重要になります。

また、リスキリングでデジタルマーケティングの知識を習得したい場合は、まずWebや各業界に関する知識を身に付ける必要があります。Webについて学ぶうえで活用できる助成金もあるため、対象であるかを確認するとよいでしょう。

Webや各業界に関する知識を身に付けたら、各種マーケティング施策やツールについて学びましょう。たとえば、下記が挙げられます。

  • Web広告
  • SEO(Search Engine Optimization)
  • MEO(Map Engine Optimization)
  • LPO(Landing Page Optimization)
  • メールマガジン
  • SNS運用
  • MA(マーケティングオートメーション)
  • CRM(顧客関係管理)
  • SFA(営業支援システム)
  • アクセス解析ツール


上記でご紹介した知識やスキルのほかにも、デジタルマーケターには、マネジメント力やプレゼンテーション力、コミュニケーション能力なども必要です。自身が既に持っていて今後も活かせるスキルと、これから新たに習得すべきスキルを整理したうえでリスキリングに取り組みましょう。

リスキリングでマーケティングを学ぶのに必要なスキル

リスキリングにおけるデジタルマーケティングの学び方4選

ここからは、リスキリングでデジタルマーケティングを学ぶ方法のうち、比較的取り組みやすい4つをご紹介します。

  • Webメディアや書籍で学ぶ
  • 資格を習得する
  • 無料のコンテンツを活用する
  • スクールやセミナーを受講する


1つずつ詳しく見ていきましょう。

Webメディアや書籍で学ぶ

まずは、Webメディアや書籍で学ぶ方法です。この学習方法は、自身のレベルに合わせて記事や本を選択できるため、多くの方が気軽に始めやすいでしょう。

ただし、デジタルマーケティング業界は情報の移り変わりが激しいため、情報の鮮度やソースの信頼性などを見極める必要があります。不安な方は、公開日が新しい記事や出版年が新しい書籍で基礎知識を身に付けたり、ほかの方法と並行して学んだりすることがおすすめです。

資格を習得する

資格取得を目指して学習することもデジタルマーケティングの知識を身に付けるうえでおすすめの方法です。デジタルマーケティングで役立つ資格には、たとえば以下の資格や試験が挙げられます。

  • Webアナリスト検定
  • Web解析士
  • Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)
  • SEO検定
  • マーケティング検定
  • 中小企業診断士
  • MBA(経営学修士) など


MBAは大学院に通う必要があるため難易度は高めですが、ほかの資格は試験に合格すれば取得することができます。上記のような資格を取得していることで、デジタルマーケティングに携わる職種に就く際に有利になる可能性もあるでしょう。リスキリングに取り組む際には、自身が学ぶ目的や、レベルに合わせて資格を選択することが大切です。

無料の学習コンテンツを活用する

無料の学習コンテンツを活用することも、デジタルマーケティングを学ぶのに効果的な学習方法です。動画であれば、文字やイラスト、音声など多様な形で表現されているため、難しい内容でも理解しやすいでしょう。サービスによっては、教材だけでなく、理解度テストまで無料で設けているものもあります。

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※学習動画の視聴には会員登録(無料)が必要です。

スクールやセミナーを受講する

最後におすすめするのは、スクールやセミナーに参加する方法です。スクールやセミナーは有料であることが多いですが、デジタルマーケティングの知識をプロの講師から学ぶことができます。特にスクールは学習内容が体系化されている場合が多く、独学で勉強することに不安を抱える人におすすめです。

デジタルマーケティングを学ぶ計画を立てる人

リスキリングでデジタルマーケティングを学ぶ際に利用できる助成金

個人でデジタルマーケティングを学ぶ際、以下の2つの助成金を利用できる可能性があります。

  • 教育訓練給付制度
  • リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業


それぞれの制度について詳しく解説します。

教育訓練給付制度

教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が認定する教育訓練の受講にかかった費用の一部が支給される制度です。この制度は、労働者の主体的な能力開発やキャリア形成、雇用の安定と就職の促進を目的としています。教育訓練給付制度を利用するためには、雇用保険に加入し、一定の条件を満たしている必要があります。

教育訓練給付制度対象の講座は、「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」から検索することができます。受講した講座や、これから受講を検討している講座が対象であるか確認してみるとよいでしょう。

教育訓練給付制度について詳しくはこちら

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

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『PERSOL MIRAIZ』も、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の対象であり、無料のキャリア相談や講座を受けることができます。ぜひ活用してみてください。

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リスキリングに取り組んで助成を受ける人

リスキリングでデジタルマーケティングを学んで理想のキャリアを目指そう!

ここまで、リスキリングでデジタルマーケティングを学ぶ必要性や学習方法、学習時に利用できる助成金について解説してきました。今後も、マーケティングとデジタルの知識を兼ねそろえた人材の需要はさらに増していくと想定できます。新しいことに挑戦し、スキルを身に付けることは時間や労力が必要ですが、苦労した分必ず力として積みあがっていきます。自身の現状と社会の環境を整理し、理想のキャリアを実現するためにも積極的にリスキリングに取り組みましょう!

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『PERSOL MIRAIZ』は、はたらくすべての人が利用できる無料のリスキリングサービスです。本来は高額なスキルの学習やキャリアカウンセリングを、誰でも気軽に始められます。

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この記事を監修した方

後藤 宗明

さん

一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事 チーフ・リスキリング・オフィサー / SkyHive Technologies 日本代表

早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業。2011年、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人設立に尽力。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。日本全国にリスキリングの成果をもたらすべく、政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。著書『自分のスキルをアップデートし続ける「リスキリング」』(日本能率協会マネジメントセンター)は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」イノベーター部門賞を受賞。2023年9月に続編『新しいスキルで自分の未来を創る「リスキリング実践編」』を上梓。

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