2024/04/08

これから需要の増える仕事とは?仕事の未来レポート2023をもとにご紹介

はたらくを考えるヒント
#リスキリング

これから需要の増える仕事を知ることはキャリアを考えるうえで大切です。この記事では、将来需要の増える職種や成長していく業界についてご紹介します。転職先を探したり、将来性のある業界を考えたりする際の参考にしてみてください。


これからの仕事を考えるうえで押さえるべきキーワード

「これから需要が高まる仕事は何だろう」「将来性が高い職種はどんな職種だろう」と、これからの仕事について考える際は、最近の世の中の動きを押さえておくとよいでしょう。

この記事では、まず、これからの仕事を考える際に押さえておくとよい下記3つのキーワードをご紹介します。

  • 第4次産業革命
  • グリーントランジション
  • リスキリング

そのうえで、世界経済フォーラムによる「仕事の未来レポート2023(The Future of Jobs Report 2023)」※1をもとに、これから成長していく分野や職種、逆に需要が減少していくと予想されている職種について解説していきます。仕事や習得するスキルを選ぶための参考にしてみてくださいね。

※1出典:「The Future of Jobs Report 2023」(World Economic Forum)

虫眼鏡を持った男性

第4次産業革命

第4次産業革命とはIoT(モノのインターネット)やビッグデータ、AI(人工知能)の活用を中心とした技術革新を指します。第4次産業革命により、IoTをはじめとしたシステムによって集められたビッグデータをもとにAIが機械学習を行う、といった活用が可能です。

第4次産業革命におけるテクノロジーの進化によって、ビジネス環境も大きく変わっていきます。特に、ChatGPTをはじめとした生成AIは、生活のなかでも浸透しつつあり、日々の業務の内容や在り方を変えつつあると感じている方もいるでしょう。

これからの仕事を考えるうえで、個々のテクノロジーだけではなく、第4次産業革命といった大きな潮流について理解するのがおすすめです。

グリーントランジション

グリーントランジションとは、温室効果ガスの排出量を削減し、持続可能な社会に移行するという考え方です。パリ協定で定められた「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度より十分低く保ち、1.5度以内に抑える努力をする」という目標を達成するために、グリーントランジションは世界的な取り組みとなっています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックの後、世界では1兆8,000億ドル以上が環境対策に費やされていることからも分かるように、グリーントランジションの経済効果は非常に大きいのです。

そのため風力発電やバイオマス発電といったクリーンエネルギー分野の成長が期待されており、エネルギー、材料、インフラ分野で雇用の創出が激しくなるとされています。また、環境にやさしい仕事への需要はこうした分野にとどまりません。国際エネルギー機関(IEA)の推計によると、地球環境保全のための動きにより、世界で毎年900万人の新規雇用が生み出されるともされています。

地球温暖化をはじめとした環境問題は、今後より一層重視されていくでしょう。これからの仕事を考えるうえでも、グリーントランジションの背景を理解することが重要です。

鉛筆を持つビジネスパーソン

リスキリング

リスキリングとは、新しい業務や職業に就くために、今の仕事とは異なる領域や職種のスキルを身に付けることを指します。現在の職種や業界にとらわれず、時代に即した知識やスキルを身に付けることで、第4次産業革命における技術革新に対応しながら、成長産業・成長職種に移行することを目指します。

リスキリングの動きは世界的に広まっており、2020年のダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)では、2030年までに10億人のリスキリングを目指すとした「リスキリング革命(Reskilling Revolution)」が発表されました。

日本でも2021年2月から経済産業省によって「デジタル時代の人材政策に関する検討会」が開かれ、リスキリングについて言及され始めました。2022年10月3日の第210回臨時国会では、岸田内閣総理大臣が「個人のリスキリングに対する公的支援については、人への投資策を、五年間で一兆円のパッケージに拡充します。」と発言し、動きが広まっています。

これから需要が高まる仕事や、将来性が高い仕事は、急速に発展するテクノロジーの影響を大きく受けるでしょう。そのため、リスキリングという考え方を理解し、常に学習することが大切です。

仕事の未来レポート2023から見るこれからの仕事

 これからの仕事がどう変化していくのか考えるにあたり、この記事では「仕事の未来レポート2023」の雇用の見通し(Jobs outlook)を参考にしています。このレポートは、世界経済フォーラムによって2023年4月3日に発行され、さまざまな経済圏、産業のグローバル企業のビジネスリーダーたちによる予測がまとめられたものです。協力した企業の総数は803社で、全ての企業を合わせた従業員数は1,130万人以上に上ります。

仕事の未来レポートは2年ごとに発行されますが、今回は3年ぶりの発行となりました。各年の変化を記録しながらこれからの仕事に必要とされるスキルを分析しているため、これからの仕事を考えるときだけでなく、身に付けるスキルを選ぶ際にも参考になるでしょう。

虫眼鏡を持った女性

これからの仕事~急成長する職業~

仕事の未来レポート2023によると、急速に成長する職種はテクノロジーやデジタル化、サステナビリティと関連したもので、テクノロジーの導入が今後5年間、ビジネスを変革していくことが予測されています。テクノロジーの導入は、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、AIを中心に行われる確率が高く、実際に調査対象の企業の75%以上がこうしたテクノロジーの導入を検討中です。

しかし、企業の間でもAIに関する意見は異なり、50%の企業が「AIが雇用を生み出す」と考える一方で、25%の企業が「AIが雇用を減少させる」と考えています。こうした調査結果に基づいて推定される2023年から2027年にかけて急成長する職業トップ10は以下の通りです。今回は、4位までの職業について詳しく解説します。

<仕事の未来レポート2023による急成長する職業トップ10>

1位 AI・機械学習スペシャリスト
2位 サステナビリティ・スペシャリスト
3位 ビジネスインテリジェンス・アナリスト
4位 情報セキュリティ・アナリスト
5位 フィンテック・エンジニア
6位 データ・アナリスト、サイエンティスト
7位 ロボティクス・エンジニア
8位 ビッグデータ・スペシャリスト
9位 農業用機械オペレーター 
10位 デジタルトランスフォーメーション専門職

仕事の未来レポート2023による急成長する職業トップ10

1位 AI・機械学習スペシャリスト

AI・機械学習スペシャリストとは、AIや機械学習を扱うことを専門としている人たちのことを指し、分析や効率化などの場面で力を発揮します。AIと機械学習はこれからの産業を継続的に変革していくとされているため、雇用が40%(約100万人)増加すると予想されています。

2位 サステナビリティ・スペシャリスト

持続可能な社会の構築への取り組みを担当する人のことを指します。グリーントランジションが進む現在、社会のためにも自社の評価のためにも、持続可能な社会の構築に取り組むことが重要です。そのため、サステナビリティ・スペシャリストの需要が増加しており、雇用が33%成長し、新たに約100万人の雇用が創出されると仕事の未来レポート2023で予測されています。

LinkedInのデータに基づいた仕事の未来レポート2023の分析によると、雇用主はサステナビリティ・スペシャリストのような環境保全に関わる仕事(Green Job)をより重視しており、2019年以降、グリーンジョブの前年比伸び率が全体の雇用率の伸び率を毎年上回っていると評価しています。

※出典:The Future of Jobs Report 2023(The World Economic Forum)

3位 ビジネスインテリジェンス・アナリスト

データ分析やデータマイニングなどを通じて、傾向や関係性などを見つけ、企業の意思決定の手助けをする人のことです。デジタル化の進む社会において、ビジネスインテリジェンスを使用すれば、顧客のニーズや経営の問題点などを理解することができます。仕事の未来レポート2023によると、ビジネスインテリジェンス・アナリストをはじめ、データ・アナリストやデータサイエンティスト、ビッグデータ・スペシャリストといった、データに関する役割は、需要が30~35%(140万人) 増加すると予測されています。

4位 情報セキュリティ・アナリスト

情報セキュリティ・アナリストとは、安全なセキュリティを保つために、情報システムやセキュリティシステムの構築・維持やサイバー攻撃への対策を行う人のことを指します。仕事の未来レポート2023によると、蔓延するサイバー犯罪とセキュリティ不安は世界的なリスクのトップ10である一方で、現在世界的に300万人の情報セキュリティ・アナリストが不足しているようです。情報セキュリティ・アナリストは需要が31%増加し、雇用が20万人創出されると予測されています。

通話する男女

これからの仕事~需要が減少していく職種~

仕事の未来レポート2023によると、テクノロジーの導入やデジタル化により代替されてしまう職種は需要が減少し、雇用が失われていくと予測されています。最も急速に減少している役割の大半は、事務や秘書の役割です。また、警備、工場、商業といった職種においても雇用が減少することが見込まれています。雇用が減少していくことが想定している具体的な職種の例は以下の通りです。

  • 銀行窓口およびその関連事務
  • 郵便局事務員
  • レジ係およびチケット事務員
  • データ入力オペレーター
  • 事務秘書

※出典:The Future of Jobs Report 2023(The World Economic Forum)

これからの仕事~成長が期待される分野~

 ここでは、仕事の未来レポート2023で予測されている、これから成長して雇用が増えることが期待されている分野をご紹介します。

デジタル産業

仕事の未来レポート2023の調査に回答した経営者の86%が、デジタル化の拡大によって組織が変革されていくだろうと予想しています。こうした動きに伴って、回答者の52%が雇用の増大を見込んでいると回答しており、デジタルを扱う人材の需要も増していくと想定されます。実際に、電子商取引スペシャリストやデジタルトランスフォーメーションスペシャリスト、デジタルマーケティングおよび戦略のスペシャリストは、地域によって差異があるものの、25~35%増加(200万人の雇用増加)するとされています。

エネルギー産業

現在は雇用者数が少ない再生可能エネルギーや気候変動緩和に関わる仕事も需要が増す見込みです。持続可能な社会の実現のためにも、クリーンエネルギーの利用はその重要度を増しています。そのため、ソーラーパネルの設置やシステムに関わる技術者や、再生可能エネルギーに関わる技術職といった職種で雇用が創出されることが期待されています。

先端技術関連産業

第4次産業革命によるテクノロジーの発達に伴い、先端技術に関連した職種の需要が増加しています。先ほどご紹介したAI・機械学習スペシャリストや情報セキュリティ・アナリストだけではありません。データ・アナリストやデータエンジニアなどの職種でも30~35%の需要増加が見込まれています。理由としてはIoTといったシステムにより集められたビッグデータを活用しようとする動きが生まれていることが考えられます。

女性客から相談を受ける男性オペレーター

教育関連産業

教育関連産業では、2023年から2027年にかけて約10%増加すると予測されています。教育関連の職種の雇用は需要が高まり、職業教育の教員や大学・高等教育教員の雇用は合計で約300万人増加する見込みです。需要増加の中心はG20に参加していない国で、G20諸国より約50%高くなる見込みになっています。こうした教育産業の成長は、テクノロジーが進展するなかで、従業員に求められるスキルと従業員が持っているスキルのギャップを埋めるための取り組みが加速するという背景もあります。

農産業

農業技術の利用や地球温暖化対策への投資が増えたことが影響して、農産業での雇用が増えるという予測がされています。特に、農業機械のオペレーターはその需要が30%増加すると考えられており、300万人の雇用が創出されると期待されています。また、ChatGPTをはじめとした大規模言語モデルが労働市場に及ぼす影響に関する調査によると、農産業の従業者は生成AIの影響を受けにくいと予想されているため、これからも農産業の仕事は今後も残っていくことが期待できます。

物流産業

サプライチェーンの地域化や人件費の高騰の影響などさまざまな要因が関係するため、物流産業の雇用に関する意見は分かれましたが、全体の予測を考慮すると大型トラック・バス運転手の雇用は12.5%増加し、200万人の雇用が創出されるとされています。しかし、現在世界的に大型トラック・バスの運転手が不足しており、これからも需要が高まることが予想されるため、200万人の雇用増加のペースでは適切な人数の運転手が確保できない可能性があります。

特に、日本では2024年4月からドライバーの働き方改革に向け残業時間の上限規制がかかることで、ドライバー不足が深刻化するといわれています。この問題は、「2024年問題」とも呼ばれており、日本におけるドライバーの需要は2024年以降より高まるでしょう。

スマートフォンを使う男女

大切なのは自分がどんな仕事をしたいか

 ここまで「仕事の未来レポート2023」に基づいてこれから成長していく職種や分野、需要が減少していく職種などの予測についてご紹介しました。自分の進路や身に付けるスキルを考える参考にしてみてくださいね。

ただし、ここでご紹介したのはあくまで予測であり、1つの調査結果にすぎません。大切なのは、自分はどんな仕事をしたいのか、どんな働き方をして、どんな生き方をしたいのかを考え、仕事を選ぶことです。この記事のなかで需要が減少するとご紹介した職種も完全になくなるわけではないでしょうし、「需要が減少する=価値がない」というわけではもちろんありません。また、「何をするか」という仕事内容だけでなく、リモートワークやフレックスタイム制といった働き方も含め、自分の意思や考えを大切にしてキャリアを選択してくださいね。

アイデアを出す女性

リスキリングに取り組もう

前述した通り、テクノロジーの導入がビジネスを変革していくとされているので、多くの企業はテクノロジーを導入して事業成長の可能性を開拓しようとしています。そのため、これからは時代に即したスキルを身に付けることがより一層大切になっていきます。

これからどう働き、どう生きていきたいかを自分の心に問いかけたとき、「今とは違う仕事に挑戦したい!」「デジタル分野で活躍したい!」と思った際には、最初にご紹介したリスキリングに取り組むとよいでしょう。何かを新しく始めることに遅過ぎるといったことはありません。書籍を読んだり、資格取得を目指したり、学習サービスを利用したり、できることから始めるとよいでしょう。「未経験だからうまくいくか不安…」という方は、転職エージェントの活用もおすすめです。キャリアチェンジに挑戦することも視野に入れ、自分の可能性を開拓しましょう!

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『PERSOL MIRAIZ』は、はたらくすべての人が利用できる無料のリスキリングサービスです。本来は高額なスキルの学習やキャリアカウンセリングを、誰でも気軽に始められます。

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この記事を監修した方

後藤 宗明

さん

一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事 チーフ・リスキリング・オフィサー / SkyHive Technologies 日本代表

早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業。2011年、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人設立に尽力。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。日本全国にリスキリングの成果をもたらすべく、政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。著書『自分のスキルをアップデートし続ける「リスキリング」』(日本能率協会マネジメントセンター)は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」イノベーター部門賞を受賞。2023年9月に続編『新しいスキルで自分の未来を創る「リスキリング実践編」』を上梓。

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