2024/04/15
営業スキルとは、営業活動に必要なスキルを指し、コミュニケーション能力や課題発見力、提案力をはじめ多岐にわたります。この記事では、スキルアップしたい営業担当者や営業職に興味がある方に向けて、11種類の営業スキルを詳しく解説したうえで、身に付ける方法をご紹介します。
営業スキルとは、営業活動に必要なスキルを指し、具体的にはコミュニケーションスキルや交渉力、課題発見力、提案力をはじめ多岐にわたります。
営業スキルを高めたい方や、営業にキャリアチェンジしたい方は、営業に必要なスキルとは何かについて理解することから始めるとよいでしょう。この記事では、営業に必要なスキルとその身に付け方をご紹介します。
また、AIやロボットをはじめとしたテクノロジーの発展に伴い、ビジネスパーソンに求められるスキルは日々変化しています。このような変化に対応すべく、リスキリングやリカレント教育への注目が高まっています。下記の記事も併せて参考にしてみてください。
営業には幅広いスキルが求められます。ここでは、営業に役立つスキルを11種類ご紹介します。
営業は、顧客の課題を発見し、自社のサービスや商品を提案する仕事であるため、コミュニケーション能力が必要不可欠です。営業において求められるコミュニケーション能力は、社交性や話の上手さだけではなく、顧客との信頼関係を構築する力も含みます。
コミュニケーション能力は、「伝える力」と「聴く力」の大きく2つに分けることができます。そして、コミュニケーションとは、「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」に分けることができます。つまり、コミュニケーション能力とは、細かく見ると下記の4つで成り立っているといえます。
アルバート・メラビアン(アメリカの心理学者)が提唱した「メラビアンの法則」によると、言語情報よりも、聴覚情報と視覚情報の方が相手に与える影響度が大きいとされています。つまり、声のトーンや抑揚といった聴覚情報、表情や身だしなみといった視覚情報が、相手の印象を左右するということです。顧客と直接会って商品やサービスを提案する営業にとって「非言語で伝える力」は特に重要といえるでしょう。
また、営業は顧客のことをよく理解する必要があるため、「相手の非言語を読み取る力」も重要です。顧客の仕草や表情、目線などをよく観察し、相手の気持ちを読み取ることで、その後の商談の展開や話す内容を判断することができます。
ヒアリング力とは、顧客の課題や悩みを引き出す力のことです。さまざまな角度から質問を投げかけ、顧客が抱える本質的な課題や要望を見つける材料をそろえるのがヒアリングの段階です。このとき、質問に対して情報を開示してもらうためには信頼関係が重要です。特に踏み込んだ質問をする際は、情報を開示してもらえるよう、それまでの流れやタイミングを戦略的に考える力も必要です。
特に、BtoB営業では「BANT条件」を押さえておくことが重要です。BANTとは、ヒアリングに役立つフレームワークで、下記4つの単語の頭文字を取っています。
ヒアリングで顧客についてどれだけ深く理解できるかが、提案内容の質を左右します。また、ヒアリングの結果を踏まえて営業戦略を立てるため、ヒアリング力は営業にとって特に重要なスキルといえるでしょう。
課題発見力とは、顧客が抱える課題を見つけ出す力のことです。顧客が掲げる理想や目標に対し、現状とのギャップがなぜ生まれているのかを分析し、そのギャップを埋めるためのボトルネックを発見する力ともいえるでしょう。
ここでポイントなのが、顧客は必ずしも自社の課題を全て把握しているとは限らないということです。ヒアリングで引き出した情報から、本質的な課題を分析する必要があります。そのため、顧客からヒアリングした情報に加え、市場動向や競合分析を踏まえ、課題を見つけていきましょう。
提案力とは、顧客が抱える課題に対する解決策として、自社の製品やサービスの有効性を伝え、納得してもらう力を指します。顧客に納得してもらえる提案をするためには、これまでご紹介してきたコミュニケーション能力、ヒアリング力、課題発見力といったスキルで得られた情報や分析結果と、自社の魅力をかけ合わせる必要があります。そのため、提案力と一言でいっても、下記のようなスキルが総合的に必要になります。
特に、競合との違いや優位点はよく質問されるポイントなので、競合分析を踏まえた自社の魅力について説明できるようにしておくとよいでしょう。
クロージングとは、営業活動において発注をもらう最終段階のことです。顧客が興味を示していても、受注に至らなかったというのは営業活動ではよくあることです。これは、それまで表面化していなかった懸念がクロージング段階で出てきたり、社内の稟議が通らなかったりなど、予期せぬ障壁が発生するためです。
そのため、クロージングでは丁寧なヒアリングで懸念していることを取り除いていくことが大切です。ここでも、下記のようにBANT条件に沿って状況を確認していくとよいでしょう。
たとえば、予算に変更があった場合は提案内容を調整したり、決裁者の反応が悪ければ挽回するための提案を追加でしたりすることで、障壁を取り除くことができます。また、導入までのスケジュールを細かく把握することで、進捗の確認をこまめに行うことができ、状況によって然るべき対応を取ることができます。
営業における進捗管理能力とは、アポイント獲得から受注に至るまで、「現在どのフェーズにいるのか」、「次のフェーズに商談を進めるために何をすべきか」を明確にし、受注に向けて商談を進めていく能力です。
具体的には、下記のようなことを日々確認していきます。
特に、競合他社がいる場合は、競合の提案状況をヒアリングしながら、自社が選ばれる理由を明確にしておく必要があります。また、顧客の中で競合他社ではなく自社を選んでもらえた場合でも、社内承認の過程で障壁が生じる場合もあります。それぞれのフェーズで発生する障壁は異なるので、顧客と関係を築きながら懸念事項を払拭していく進行が求められます。
ストレスマネジメント力とは、大きなプレッシャーやストレス負荷がかかる環境でも、心の健康状態を自己コントロールし、高いパフォーマンスを発揮する能力を指します。
営業は「売上額」や「受注数」といった数値目標に基づいて評価される場合が多いでしょう。会社によっては、メンバー間で競争したり、ノルマを設けたりといった取り組みを行う場合もあります。数値という客観的で明確な指標があることが、やりがいやモチベーションにつながることもありますが、ストレスや不安といったプレッシャーになることもあります。だからこそ、ストレスマネジメント力は営業にとって重要なスキルといえます。
マーケティングとは、顧客が真に求めることを理解し、商品やサービスを作り、その価値を届ける(売る)仕組みを作る活動全般を指します。マーケティング能力は、マーケティング職に限らず、営業にとっても重要なスキルです。
たとえば、顧客にとって納得度が高い提案をするためには、顧客のことを深く理解することが不可欠です。その際に、「3C分析」「STP分析」「カスタマージャーニー」などのマーケティングのフレームワークを用いることで、顧客のことを俯瞰して理解できるでしょう。
ロジカルシンキングとは、論理的思考力のことで、物事を体系的に捉え、筋道を立てて考える能力のことです。前述した提案力を高めるためにも、ロジカルシンキングは重要なスキルの1つです。
顧客の掲げる目標や課題に対して、なぜ自社の製品やサービスが解決策となるのか、他社に比べどうして自社を選ぶべきなのかといった提案を、論理的に整理することで説得力が増します。
営業の行動力は、顧客との信頼関係の構築や受注に大きな影響を及ぼします。どれだけ卓越した営業スキルや知識があっても、行動しなければ成果は当然上がりません。学んだことを行動に移し、アウトプットする自発的姿勢が営業には求められます。
営業に必要な交渉力とは、自社と顧客の双方が納得できる落としどころを見つけ、合意が取れるよう話し合いを進める能力を指します。営業活動では、受注までスムーズに進まなかったり、顧客から金額や条件の交渉を求められたりする場合もあります。その際は、自社にとって譲れないことを明確にしつつ顧客の要望をくみ取り、双方の利益を最大化するための譲歩案を見つけ、合意を取れるよう話を持っていける力が必要です。
ここまでご紹介してきた営業スキルを身に付ける方法はさまざまありますが、ここでは下記の3つをご紹介します。
営業スキルを高めるには、日々の業務の成果や活動を振り返る習慣を作るのがおすすめです。たとえば、1日の終わりに、下記のような観点で振り返るとよいでしょう。
また、こうした振り返りは習慣的に行うことが大切です。うまくいったときは再現するにはどうすればよいか、逆に失敗したときは繰り返さないようにするにはどうすればよいかを考えるとよいでしょう。
ナレッジとは、価値のある知識や知見を意味する言葉です。社内の営業担当者それぞれが持っているナレッジを共有することで、社内全体の営業スキルを効率的に向上させることができます。たとえば、下記のような内容について共有するとよいでしょう。
営業職は、さまざまな業界や職種の顧客と関わるため、学ぶべきことが多くあります。限られた時間のなかで成果を出すためには、社内でナレッジを蓄積・共有していくことが重要です。
営業支援ツールは、SFA(Sales Force Automation)とも呼ばれ、営業活動や顧客情報の管理を自動化するシステムです。主な機能として、営業メンバーの行動管理や、案件の進捗管理が挙げられ、商談の結果や進捗状況をデータとして可視化することも可能です。営業支援ツールをうまく使いこなすことで、進捗管理能力の向上が見込めるでしょう。
ここまでご紹介した営業スキルは、業界や職種が変わっても活かすことができる汎用性が高いスキルが多く含まれます。そのため、営業スキルは、営業からキャリアチェンジする場合でも役に立つものが多いでしょう。
今回ご紹介したスキルを高めるのと同時に、自分はどのような仕事をしたいのか、どのような働き方をしたいのか、職種にとらわれずに自分のキャリアを考えてみるのもおすすめです。もし、就きたい職種に必要なスキルと自身の現状にギャップがあれば、積極的にリスキリングに取り組むとよいでしょう。
『PERSOL MIRAIZ』は、はたらくすべての人が利用できる無料のリスキリングサービスです。本来は高額なスキルの学習やキャリアカウンセリングを、誰でも気軽に始められます。
さん
一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事 チーフ・リスキリング・オフィサー / SkyHive Technologies 日本代表
早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業。2011年、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人設立に尽力。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。日本全国にリスキリングの成果をもたらすべく、政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。著書『自分のスキルをアップデートし続ける「リスキリング」』(日本能率協会マネジメントセンター)は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」イノベーター部門賞を受賞。2023年9月に続編『新しいスキルで自分の未来を創る「リスキリング実践編」』を上梓。
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