2024/05/16

プロンプトエンジニアリングとは?プロンプトの型やプロンプトエンジニアの仕事もご紹介

はたらくを考えるヒント
#リスキリング#IT

プロンプトエンジニアリングとは、AI(人工知能)から望ましい出力を得るために、命令や指示(プロンプト)を最適化するスキルや学問分野のことです。ChatGPTの流行に伴い、注目を集めているプロンプトエンジニアリングについてご紹介します。


プロンプトエンジニアリングとは

ChatGPTや生成AIといった言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか?これらは、一般的に人間の指示や命令に応答して、テキスト、画像、動画などのコンテンツを自動生成するAIシステムのことをいいます。この場合、意図した情報をAIに出力させるために、人が入力する命令や指示のことをプロンプトといい、アメリカのAI研究所であるOpenAIが開発したChatGPTを筆頭に、生成AIが普及・発達するなかで、プロンプトエンジニアリングが注目を集めています。

プロンプトエンジニアリングとは、AI(人工知能)から望ましい出力を得るために、命令や指示(プロンプト)を最適化するスキルや学問分野のことを指すのが一般的です。プロンプトエンジニアリングは、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)を効率的に使うために必要なスキルといえます。

プロンプトエンジニアリングは、さまざまなビジネスシーンで活用が進んでいます。たとえば、カスタマーサポートでよく使用されるAIチャットボットは、プロンプトエンジニアリングで適切なプロンプトを設計することで、ユーザーの質問に対し正確な回答をできるようになっています。そうすることで、顧客満足度を向上させながら、人的リソースの削減を実現することができます。また、データ入力やレポート作成といった定型業務も、プロンプトエンジニアリングを活用して効率化することができます。

この記事ではプロンプトエンジニアリングの重要性やポイントについて解説し、併せてプロンプトエンジニアの仕事についてもご紹介していきます。

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プロンプトエンジニアリングの重要性

プロンプトエンジニアリングは、ChatGPTをはじめとした生成AIの普及・発展に伴い重要性を増しています。今後、ビジネスに生成AIを活用する企業も増えていくでしょう。しかし、AIから望ましい回答を得るためには、AIに適切なプロンプト(命令や指示)を出さなければなりません。さらに、プロンプトによってAIの出力の内容や質が左右されるため、AIをビジネスに活かすためには、プロンプトの精度が非常に重要です。

また、AI技術の利用が企業の競争力を高める要素になっていることも、プロンプトエンジニアリングが重要視されている理由の1つです。プロンプトエンジニアリングを理解し活用することで、業務を効率化し、コスト削減や新しい価値の創造につなげることが期待できるためです。

さらに、生成AIはビジネスに限らず生活シーンでも活用できる身近なAI技術となってきています。だからこそ、プロンプトエンジニアリングは、プログラマーや生成AIエンジニアといった専門職だけでなく、あらゆる人にとって重要なスキルになってきているといえます。

こうしたテクノロジーの進化と併せて、リスキリングが注目されています。リスキリングとは、新しい業務や職業に就くために、今の仕事とは異なる領域や職種のスキルを身に付けることです。リスキリングに取り組み、プロンプトエンジニアのスキルを身に付けることで、AI活用が進むこれからのビジネス環境でもキャリアの選択肢を広げていけるでしょう。

プロンプトの構成要素

ここからはプロンプトの構成要素を見ていきましょう。DAIR.AIによる『Prompt Engineering Guide』では、プロンプトの要素として、命令・指示、背景・文脈、入力、出力形式という4つが挙げられています。それぞれの構成要素についてご紹介します。

指示(Instruction)

生成AIが実行する命令や指示です。生成AIが最終的に導き出すアウトプットのもととなるものであり、生成AIに実行してほしいタスクや命令を端的に伝えることが重要です。

背景(Context)

生成AIに考慮してもらう文脈や背景です。より精度の高い結果を出力するために、コンテキストは重要な構成要素となります。たとえば、「子どもでも分かるように説明してください」や「誕生日パーティーで喜ばれる肉料理の3人分のレシピを教えて」など文脈や背景、シチュエーションを入力することで、求めている出力を得られやすくなります。

入力データ(Input Data)

生成AIが回答を出力するために必要な情報です。たとえば、要約前の文章や数値、キーワードリストなどが挙げられます。望ましい回答を出力させるためには指示・命令だけでなく、必要なデータや情報も必要な要素です。

出力形式(Output Indicator)

出力のタイプや形式です。「タイトルと本文を分けてください」「箇条書きで教えてください」など書き方を指定したり、「400字以内で要約してください」といったように文字数を指定したりすることで、望んだ形式で回答を得られやすくなります。

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プロンプトエンジニアリングで押さえるべきポイント

プロンプトを書くために押さえるべきポイントを、4つ簡単にご紹介します。下記の記事で、プロンプトについて詳しくご紹介しているので、併せて参考にしてみてください。

プロンプトについて詳しくはこちら

具体的で明確な指示をする

生成AIは曖昧なニュアンスをくみ取るのが苦手です。そのため可能な限り質問を具体的にし、何を答えてほしいのか、どのように答えてほしいのか明確に示すことが大切です。たとえば、「カレーのレシピを教えて」と指示するより、「子どもでも食べやすい辛さのカレーのレシピを3人分教えて」のほうがより求めている回答を得やすいでしょう。

明確な役割を与える

役割を指定するのも効果的です。たとえば、コピーライティングを生成する際に、「あなたはプロのコピーライターです」といったように、明確な役割を与えることで、得られる回答が希望に沿ったものになりやすいでしょう。

自由回答形式の質問を用いる

「はい」か「いいえ」で答えられる質問は、詳細な情報を提供できる生成AIのよさを十分に発揮することができません。プロンプト作成には、自由回答形式の質問で作成するのがおすすめです。

質問を重ねる

1回の質問で求める回答を全て導き出す必要はありません。最初はシンプルなプロンプトを作成し、そこから得られた回答を考慮し、さらに必要だと思った背景や補足情報、出力形式の指示を入力していくことで、望みの回答を得られる可能性が高まります。

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プロンプトの型

ここからはプロンプトの代表的な型として、「Zero-shot prompting」と「Few-shot prompting」について解説します。

Zero-shot promptingとは、具体的な事例や事前情報を与えずに、いきなり質問や命令を投げるプロンプトの型です。たとえば「プロンプトとは何ですか?」といったような質問のみ投げかけます。事前情報がない分、求めている回答が返ってこなかったり、回答の精度が低かったりすることがあります。

Few-shot promptingとは、文脈学習を通して質問や指示と回答のパターンを学習させる型です。たとえば、下記のようなプロンプトを入力すると、生成AIから「Paper」という回答が得られます。

犬→Dog
猫→Cat
車→Car
紙→

このように、一定のパターンや形式を学習させてから質問に回答させるため、Zero-shot promptingより出力の精度が上がります。

また、上記以外にも、応用的な型として「Chain-of-Thought Prompting」という、連鎖的な思考をさせることで段階的に推論させるプロンプトや、「Zero-shot CoT」という、具体的な事例を与えることなく「ステップに分けて考えてください」といった指示をして、段階的に推論を出力させる手法もあります。

プロンプトエンジニアの仕事

プロンプトエンジニアとは、AIが最適な回答を出力するように、プロンプトを設計・開発し、AIを改良するエンジニアのことです。ここでは、プロンプトエンジニアの主な仕事を3つご紹介します。

  • プロンプトの設計・開発
  • AIモデルの分析
  • プロンプトの最適化


プロンプトエンジニアは、AIモデルのチューニングやプロンプトの最適化、生成AIの評価といった業務を行います。プロンプトに対して最適な回答を生成するためのモデルの調整や、AIモデルに与える入力文の工夫、生成されたテキストの品質の評価などもプロンプトエンジニアの仕事です。具体的に見ていきましょう。

プロンプトの設計・開発

プロンプトエンジニアの主な業務はプロンプトの開発・作成です。プロンプトの設計では、AIがユーザーのニーズや期待を正確に把握しやすい具体的な表現で指示を与えることが重要です。また、さまざまなテキストを入力し、試行錯誤を重ねることで、AIが正確な回答を出力しやすくなります。

AIモデルの分析

プロンプトの入力を通して、AIモデルの分析をすることも重要な役割の1つです。さまざまなプロンプトを入力して、どのような回答が返ってくるかテストしたり、入力したデータを収集して解析し、傾向や問題を特定したりすることが求められます。

プロンプトの最適化

プロンプトの設計とAIモデルの分析を通して、プロンプトの最適化を行います。質問に正確な回答が返ってこない場合、テキストや構造、背景などを変更し、より回答を正確なものに改善していきます。最適化のためには、ユーザーの声に耳を傾けたり、フィードバックを参考にしたりすることも必要です。

分析するビジネスパーソン

プロンプトエンジニアに必要なスキル

ここからは、プロンプトエンジニアに必要なスキルについてご紹介します。

AI全般に関する知識

プロンプトエンジニアにとって、AI全般に関する知識は必要不可欠です。機械学習等のディープラーニングがどのようなアルゴリズムで行われるのか、大規模言語モデルがどのような技術で成り立っているのかなど、AIに関する知識がプロンプト設計のために必要です。

自然言語処理(NLP)に関する知識

自然言語処理(NLP)に関する知識も特にプロンプトエンジニアが身に付けておくべきスキルの1つです。自然言語処理とは、人間の言語をコンピューターが処理する技術のことで、適切なプロンプトを作成するには、自然言語がどのように処理されるのかに関する知識が求められます。

プログラミングスキル

プロンプトエンジニアの業務はプロンプトの作成がメインですが、基本的にはプログラミングスキルも必要です。というのも自然言語処理の実装やデータ分析などで必要になるためです。具体的にはPythonやJava、C++といった言語を理解し、使いこなせることが求められるでしょう。

ビジネス理解力・発想力

プロンプトエンジニアは、AIを使って最終的にビジネス課題を解決することが求められます。だからこそ、専門知識だけではなく、ビジネスへの理解や発想力が必要です。ビジネスへの理解を深めれば、より効果的にプロンプトエンジニアリングの専門知識を活用できるでしょう。

言語化・文章スキル

プロンプト設計の際には、必要だと思われる思考や条件などを正しく言語化する能力が求められます。具体的には、AIが理解しやすいような文章を作成したり、複雑な情報や条件を具体的で分かりやすい文章に落とし込んだりするスキルが必要です。

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リスキリングに取り組み、スキルを磨こう

ここまでプロンプトエンジニアリングについてご紹介してきました。ご紹介してきた通り、プロンプトエンジニアリングはAI(人工知能)から最適な出力を得るために、プロンプトを最適化するスキルであり、AIの発展に伴い今後さらに需要が高まるでしょう。

またエンジニアリングと聞くと、理系のイメージが強いかもしれませんが、プロンプトエンジニアは文章やテキストを扱うため、比較的文系の強みを活かせる職業といわれています。生成された文章の品質はその人の業界的な知見や言語能力に委ねられる部分も大きいため、文系の思考を活かせる場合もあります。

リスキリングに取り組み、プロンプトエンジニアリングのスキルを身に付けることで、キャリアの選択肢が広がるかもしれません。ぜひ、プロンプトエンジニアリングについて学んでみてくださいね。

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この記事を監修した方

後藤 宗明

さん

一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事 チーフ・リスキリング・オフィサー / SkyHive Technologies 日本代表

早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業。2011年、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人設立に尽力。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。日本全国にリスキリングの成果をもたらすべく、政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。著書『自分のスキルをアップデートし続ける「リスキリング」』(日本能率協会マネジメントセンター)は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」イノベーター部門賞を受賞。2023年9月に続編『新しいスキルで自分の未来を創る「リスキリング実践編」』を上梓。

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